専門性の高い付加価値商品を豊富に取り揃える酒販店、株式会社いずみや(千葉県鎌ヶ谷市・代表取締役雨谷裕樹氏)が飲食事業に参入。一号店目として08年にオープンさせた「沖縄SECRET BASE 神田基地 TOKYO」では、ヱビスビールに加え、「麦とホップ」樽詰」を導入。価値、嗜好とも多様化するお客のニーズに応えるとともに、もともと女性から人気が高い「ビアカクテル」シリーズのベースに採用し、利益率アップに繋げた。
-----酒販店を営みながらの初の飲食参入。"サラリーマンの聖地"である神田で、敢えて隠れ家的なオシャレ酒場を出店された理由とは?
長らく酒販店事業を営んできたので、繁盛する店も失敗する店も見てきました。成功している店に共通するのが、業態としてのインパクトの強さ。そこで、一度訪れたら忘れられないような印象的な店を創りたいと考えました。神田に店を出した理由は、ターゲットがほぼ100%働いている方々とアタリがつけ易いこと。また、この界隈には、おじさん向けの酒場はたくさんありますが女性が気軽に飲める環境は少ない。これだけサラリーマンがいるなら同数近いOLもいるはずですから、その需要を掘り起こしたかったんです。安さ、気軽さだけを追うのではない店。そういう意味で、「いずみや」がやってきた"付加価値を売る"というビジネスモデルとも関連性があり、多少なりともノウハウがありました。
店造りのコンセプトは、"大人の秘密基地"。私が40才なので、その前後をターゲットに喜ばれる空間を創りたかった。内装はすべて手造りし、子供の頃のワクワク感を思い出してもらえる空間に設えました。また、数々の開業事例を見てきて、初期投資をいかに抑えるかが大きなカギだと学んでいたため、30坪という空間でしたが、建築費用は厨房設備含めて600万に抑えました。すべて自己資本でまかなったため、その分、ランニングコストが抑えられ、その後の運営の負担を軽くすることができました。
販促は口コミがメイン。間口が狭いため、フリー客は見込み難い。一回入れば隠れてることが魅力になるような店にしたことで口コミ効果が高められたようです。実際、口コミがお客を呼び、現在、常連は女性客7割と、ほぼ見込み通りです。ゆっくり寛ぐというコンセプトのため回転数は少ないですが、その分、客単価は神田の設定でいえば少々高めの4000円前後で保たれています。
-----酒販店として、飲食店経営に活かしているノウハウとは?
お酒に関する知識の厚さを活かし、飲ませ方を工夫しています。大事なのは、商品を売るのではなくおいしい飲み方やシーンを伝えること。例えば、地酒は一合ではなく90mlなど小さなポーションを380円~と安い価格で色々な味の飲み比べを楽しんでもらっています。泡盛や島酒は、地元の人々が昔ながらに飲んでいる"前割"で提供。"前割"は、ロックでちびちびやるよりスッキリ飲めるおいしい飲み方で、その魅力を知って頂くと、ほとんどのお客様が注文するようになります。大抵、720mlの量り売りを亀に入れて卓上にお出しし、自由に飲んでもらう。自宅のように寛いで頂けて、且つオペレーションも楽になり、一石二鳥です。酒屋が営む飲食店として種類数で付加価値を付けることを考えられがちですが、逆に、厳選し、飲み方を提案。自分の店で実戦し、その成功例をご提案するという形で酒販店事業にも活かしています。
-----「麦とホップ」樽詰を導入することに決めたのは?
樽生は、もともとヱビスビールと北海道生搾りの二本立てでした。味が良かったのが最大の決め手ですが、加えて、酒屋目線でいうと「麦とホップ」樽詰は利益商品として売り易い。生ビールの方が売上は高いのですが、利益率は「麦とホップ」樽詰の方が高くしています。うちの店では、ヱビスは普通ジョッキ580円、「麦とホップ」樽詰は350mlと少し小さめで380円で提供しています。200円の価格差が両方のブランドを際立てることに繋がり、お客様に選んで頂き易くなります。
-----もうひとつ、ユニークなのがビアカクテルのベースに採用したことですが・・・
はい。女性から人気のビアカクテルは、シークワサーやマンゴーなど、7種のフレーバーから選べるのですが、そのベースに「麦とホップ」樽詰を採用することで原価が下げられ、増益に繋げられました。実際、味わい的にも、ビアカクテルには「麦とホップ」樽詰の爽やかさが合う。ビールが苦手な女性もサワー感覚で飲まれています。もうひとつの魅力は、飲み放題でも使える点です。味わいではビール感覚で楽しめて、原価は低いので、飲食店にとっては非常に有り難い。「麦とホップ」樽詰は、酒販店にとっても、飲食店にとっても、利益に繋げやすい優れた商材です。
運営スタイルを確立させたら、さらなる店舗展開を図りたいと考えています。この店は、酒販店事業を営む「いずみや」のお客様でもあります。繁盛すれば、お取り引き先のお客様からの信頼感も増し、お酒の販売に関しても、より説得性の高いリアルな提案ができる。お酒の消費量が落ちてきている中で、おいしい飲み方を飲食店側からもっと提案していただくことにより、日本におけるお酒文化に貢献していきたいと考えます。
| 店名 | 沖縄SECRET BASE 神田基地 TOKYO |
| 住所 | 東京都千代田区内神田3-14-7 内神田3.14ビルB2 |
| アクセス | JR神田駅より徒歩3分 |
| 電話 | 03-3255-5678 |
| 営業時間 | 18:00~24:00、土17:00~23:00 |
| 定休日 | 日・祝 |
| 坪数席数 | 30坪60席 |
| 客単価 | 4000円 |