UP FRONT
ハマの潮風をうけてクルージング気分!ウォーターフロントに姿を現した「横浜ベイクォーター」。アートにハワイに話題のパン屋。大規模開発真っ最中みなとみらい地区を巻き込んで、豪華客船は漕ぎだせるか!?
2006年8月24日、横浜港を望むウォーターフロントに登場した「横浜ベイクォーター」。「美・交・創」をテーマに、75店舗が出店。“豪華客船クルーズで楽しめる上質なサービスとショップ”を提案する。
【横浜ベイクォーター その立地とメインターゲットを知る】
当該地は1914年から約70年にわたって三菱倉庫の営業所として、1985年以降は「そごう横浜店」の駐車場として利用されていた。1990年ヨコハマポートサイド地区が再開発地区として都市計画決定されたことにともない、同社が主体となって再開発事業が進められることになった。
横浜ベイクォーターの主力ターゲットは30代〜50代の女性。駿河湾沖から運んだ海水を使用する温水プールを備え、海藻を使った本格的施術が受けられる「タラソテラピー」や流行のヨーガ&ピラティススタジオ、日比谷花壇のフラワースクールといったサービス関連テナントを充実させ、「くり返し通ってもらえる施設」になることで差異化を図るのがねらいだ。インテリア関連や、オーガニック、ペット関連といったショップで女性の好みを押さえている。
【3階エントランスフロアーに「商店街」を見る】
そごうから直結するかもめ橋を渡るとベイクォーター3階部分に到着する。まず目を引くのがパンのセレクトショップ「ヴィクトワール」の行列。フランスやイタリア等のコンテスト優勝者、勲章受章者のパンやスイーツを扱い、“手軽に買える高級感”が受けるのだろう。TV、雑誌等で話題の「とろけるブリオッシュ」を手に入れるためには目下、一時間ほどの忍耐が求められそうだ。
3階部分はエントランス階でありメインフロアーに相当するにも関わらず、居並ぶ店舗はローソンに薬局、横浜銀行ATM、そしてパン屋といった商店街のおもむきだ。というのも、この3階レベルのベイストリートは来年2月下旬竣工予定の分譲マンション「ナビューレ横浜タワーレジデンス」の住人が24時間通行可能な生活通路としての役割を担うためで、そういった前提から施設全体が「物販がありながらカフェがある」といった“路面店の集合”の様相を呈することになったのはおもしろい。
【デザイン&プロデュースは「北山兄弟」】
「横浜に寄港した豪華客船」をモチーフにした施設のデザインはK計画事務所の北山孝二郎氏。流線型のシルエットで、下層階にいくほど外側にせり出しているのが外観の特徴。構造上視界をさえぎられることがないため、船の「甲板」にあたるテラス部分からは横浜港やみなとみらい21地区の眺望をさわやかに体感できる。施設の総合プロデュースは北山創造研究所。代表の北山孝雄氏は建築家の安藤忠雄氏の双子の弟。同研究所がプロデュースを手がけた“ビナウォーク海老名”や“亀戸サンストリート”がカラフルに色を多用した施設であったのに対し、今回はあくまで「カラーレス」。港町・横浜を意識した“白”をベースに、さわやかな上品さを演出している。ちなみに施設デザインの北山孝二郎氏は、北山孝雄氏・安藤忠雄氏の弟である。
施設内の壁・天井などパブリックスペースのデザインを手がけたニーナ・ヨブス氏は、いま話題の「イケア」のデザインディスプレイにも携わっており、現代スウェーデンを代表する女性デザイナー。またヨーロッパの若手デザイナーブランドの椅子(なかにはビックリするほど高額なものも!)が随所に置かれ自由に触れ、座ることができる。
駐車場壁面随所に見られる「ライフストライプ」。これは生き物の一日の生活行動を色分けし、視覚化したアート作品で、横浜にゆかりのある人(例えば横浜・中田市長など)の生活パターンが見られる愉快さと共に、シンプルな施設内のカラフルでポップなアクセントになっている。
【横浜ベイクォーター的レストランの考察】
上層階に行くにしたがって客単価の上がる「デパート的レストランフロアー構成」をあえて外し、最上階にあたる5階のレストラン街には決して敷居の高くない、なじみのある顔ぶれ(そばの「花旬庵」「三間堂」、韓国料理の「ノルブネ」「麻布いさご鮨」など)が並ぶ。
柿安本店は3階に人気のビュッフェレストラン「柿安三尺三寸箸」、新業態の飲茶「HONG KONG CAFE」、新業態の中華「ヌーベルシノワ瑠璃」の3店舗を出店。クリエイトレストランツは新業態のシーフード&グリル「Atlantic(アトランティック)」とスペインバル「Bar de Canteバル デ カンテ」を、ウエディングプロデュースで躍進目覚ましいモックは
ダイニングバー「ハニーズ テラス」とギャラリーを併設した「ハニーズ ギャラリーカフェ」をそれぞれ出店させている。「フレッシュネス ドッグカフェ」は神奈川県川崎市内のマンション「トゥトゥジャルダンはるひ野店」に次ぐ2店舗目となる。
有名コーヒーチェーン店や、ファストフードの出店はあえて避けた。業態を明確化せず、あえていうなら“カフェ”という、一日を通じどの時間
帯でも食事やお茶で気軽に利用できる店舗が多いのが特徴。ほとんどの飲食店が自然光を取り込むガラス張りで開放感があり、席間も広めにゆったりと取られている。
【じわりと火がつく?ヨコハマ発「ハワイ」ブーム】
注目は当該施設には「ハワイ」関連の店舗がじつに4店も出店していることだ。女性客であふれ店内に入れないほど盛況だったハワイアングッズの「フラハワイ」、ハワイをモチーフにしたアイウェアを扱う「マカアニアニ」、ハワイアンハンバーガーでおなじみの「クアアイナ」、そしてハワイアンカフェ・ダイナーの「アロハテーブル」。フラダンスやハワイアンキルトは奥さま方の「おけいこ」として定着した感もあり、ハワイアンジュエリーも人気がある。さらに“ハワイアンセンター”を扱った映画の公開もひかえて、じわじわとしたハワイブームのポテンシャルはたしかにある。海と空の開放感に「横浜×ハワイ」の融合を見いだした試みは奏功するか見守りたい。
【セガの巨大アミューズメント、日産本社、マリノス……。
ベイクォーターはみなとみらい地区を巻き込めるか?】
1日の乗降客数200万人。新宿、渋谷に匹敵するほどの生活駅としての顔と、元町・中華街、みなとみらい地区を抱える観光地の玄関駅としての顔を持つ横浜駅。同じく海に臨み、同様のショッピングモール施設を多く抱える「お台場」の存在意義とも一線を画す。
みなとみらい21地区には2008年横浜Fマリノスのクラブ機能が、2009年には日産自動車の本社機能が移転する。また2010年春にはセガによる、劇場やシネコン、ホテルやオフィス地区なども併設する日本最大級の複合エンターテイメント施設がオープン予定となっており、新しい人の流れがこのベイクォーター近隣では確実に生まれつつある。
横浜駅東口から歩いて約7分。横浜ベイクォーターにたどり着くまでには、駅直結の地下街「ポルタ」、横浜市民が慣れ親しんだ「そごう」を通り抜けてくることになる。(平成20年度中には新通路が建設され、駅から直接ベイクォーター3階部分につながる予定)。手前の施設に浮気されることなく、その奥まで足を向けさせるだけの魅力をどれだけ発揮し、また持続させられるか。顧客を力強く引き寄せる新しい価値を常に創造し提供していく試みが求められる。
巨大ステーションと展望色濃いみなとみらい地区、何より海と空という最大の利を活かし、一回性の強い観光客だけでなく、地元ヨコハマの人々に添い、受け入れられていくことがこの横浜ベイクォーター成功の鍵となるだろう。
「横浜ベイクォーター」施設概要
名 称;横浜ベイクォーター(英名:Yokohama Bay Quarter)
住 所;横浜市神奈川区金港町1番地10
オープン日;2006年8月24日
店舗数;75店舗
営業時間;ショップ&サービス 11:00〜21:00
レストラン&カフェ 11:00〜23:00
(店舗により一部異なる場合がある)
延床面積;約50,600平方メートル
店舗面積;約12,500平方メートル
駐車場;730台
管理運営;横浜ダイヤビルマネジメント株式会社
プロデュース;(株)北山創造研究所
基本設計;(株)k計画事務所・(株)三菱地所設計
実施設計;(株)三菱地所設計・(株)竹中工務店
施工;(株)竹中工務店






