INTERVIEW

2008-02-28

【話題人インタビュー】田町の居酒屋「駒八」グループの大将・八百坂仁さんが還暦を機に、はじめて経営哲学を語った! 「うちは企業じゃなくて家業なんだよ」

東京都港区、芝5丁目界隈を中心に、さまざまな形態の飲食店事業を展開している「駒八」グループがある。大将の八百坂仁さんは、お客様と常に接することが好きで、世にいう実業家となっても常に本店の店頭で陣頭指揮をとりながら、お客様の喜ぶ顔を見るのが大好きな、根っからの接客マンだ。お出しする食材の品質と味にこだわり、妥協を許さない眼が、店の味を支えている。熊のような風貌の中にキラリと光る鋭い眼、その中に漂うあたたかさが魅力的な通称“オヤジ”。18店を経営しながら、今日も元気に「酒蔵 駒八本店」の店先に立つ。「いらっしゃいませ!」と元気にお客様を出迎え、「ありがとうございました!」と元気に送り出していた。そんな田町のオヤジは、創業から33年、そして還暦を迎える今、この春から「居酒屋経営塾」を開講するという。そこで、八百坂仁さんに居酒屋の原点、そして経営哲学を語ってもらった。

高円寺で創業、新天地を求めて田町に移転

創業は昭和50年の夏。脱サラして高円寺で「酒蔵(さかぐら) 駒八」として開業したんですよ。あのころは「立ち食いそば」とか「カレーショップ」がトレンドだったね。居酒屋チェーンだと「大庄」が創業した後のころ。友人の奥さんが業界で働いていて、教えてもらいながら夫婦二人三脚でスタートした。バブルの時期だったから繁盛したよ。その4年後に息子がうまれて、女房は子育てに専念することになった。それじゃあ、山手線の内側に出て、もう少し大きな店でスタッフを雇い入れて本格的にやろう、と。新宿の西口エリアにある、18坪ぐらいの物件が見つかったんだけど、条件が合わなくて。そうしたら田町だったら、同じ金額で倍の広さの物件があるよ、と不動産屋に紹介されて、それが今の「酒蔵駒八本店」。田町は当時さみしいところでね。「養老の滝」と慶応大学の先生なんかを相手にしている小料理屋があったぐらい。

 

田町というエリアを起点に続々と店舗展開していまや18店に

ちょうど景気が良い時期で、界隈の企業で働く会社員たちがグループで宴会しにきてくれるようにもなって、お客さんが入りきれなくなって。そこで「駒八別館」を開店したんだよ。それでまたお客さんが入れなくなって、次は奥座敷で宴会スペースが中心の「駒八亭」。4件目は不動産屋から物件の持ち込みがあって「駒八札の辻店」。20年前に洋風居酒屋の「魚菜処卯多璃」と「のうすらんど」を開店した。15年前に駒八のバーとして「K‘s BAR きらら」。そして原点を忘れないようにしようと「立って一畳、寝て二畳、天下取っても二合半」っていう川柳から店の名前を拝借して、98坪の立ち飲み屋「二合半」を立ち上げた。その後、バブルがはじけて家賃が下がったから平成7年に「駒八秋葉原店」、平成8年に「駒八目黒店」、平成9年に「駒八八重洲店」を出店していった。

平成13年からは別業態店の展開を始めた。私は北海道の室蘭出身ですから、玉ねぎと豚肉の串をたれとからしで食べる“炭火室蘭焼き鳥”が名物の「北の箸無炉欄」、翌年には焼酎の品揃えにこだわった「くろ酒場 薩摩」、平成15年には「鮨 きらん」、平成17年に「日々丹精 芝宇良」、ダーツバーの「Cuervo(クエルボ)」と「YABUSAME(ヤブサメ)」。そして2年前に「鮨 きらん総本店」をオープンしたことで、駒八グループは18店となりました。

私はいつも本店にいるんだけど、お客さんから呼ばれればそっと抜け出して、他の店にもあいさつしに行くこともある。芝浦は近いし、八重洲、秋葉原、目黒にもJRですぐにとんで行ける。だから田町に集中していると便利なんだよ。あと“河岸”に近いんだよ。料理人が仕入れに行けるのもはずせないポイントだからね。

  

徹底した現場主義が「駒八」グループを支える

「駒八本店」は95パーセント以上が常連さん。ここが開店してから30年、通い続けてくれるお客さんもいてくれる。慶応義塾大学の元職員のかたで、月曜から金曜まで週5回毎日来てくださった人がいる。定年してからも週一回は必ず足を運んでくれる。この前はね、1店舗で年間1億売り上げて、全部で10店舗ぐらいやっているっていう飲食店の社長が来てさ。悩んでるんだよ、経営者って迷うんだよ。そういう人をうちの立ち飲み屋の「二合半」に案内したら、すっかり元気になって帰っていっちゃった。居酒屋には“ポリシー”が必要なんですよ。だからうちは18店の全部が直営。独立開業したいスタッフにはのれん分けして完全に独立させる。だから店の名前も自由に付ければいい。オーナーの思い入れが大事なんですよ。昔の蕎麦屋みたいに決してフランチャイズにしない。あとね、うちは、製品としては冷凍モンを使わない。板長はじめ確かな技術をもった熟練の料理人が手作りしている。各店の調理人がそれぞれ築地に仕入れに行っています。これも現場主義を徹底している部分だね。

 

いまや定番! 駒八発の創作メニュー

日々、うまい酒の肴の開発にも積極的に取り組んでいます。今では当たり前になっているけど「ネギトロ」はもともとうちのオリジナル。例えば、肉味噌をレタスに巻いて食べる「サニーレタス駒八風」(580円)、からっと仕上げた女性に人気のヒット商品「かぼちゃのアーモンド揚げ」(580円)、大吟醸味噌をふんだんに使って具材は14種類入っている「駒八味噌ちゃんこ鍋」(1480円)、味噌味と醤油味の2種類から選べる「牛モツ鍋」(850円)、もちっとした触感が独特の「自家製さつま揚げ」(480円)、すり鉢一杯に盛った野菜に和風ドレッシングで味付けした「バラバラサラダ」(680円)なんかが、ロングセラー商品ですね。定番以外にも日替わりや週替わりのメニューもあるし、焼鳥、煮物、鍋物、エスニック料理、陶板焼など多種多様のメニューを全部手作りでお出ししているんです。

                                                                                                     

居酒屋の“ポリシー”を伝えたい

私自身は今年還暦で、駒八本店はおかげさまで30周年。居酒屋はパブリックなもので、日本独特の文化ともいえるかもしれないですね。だからこそ、日本に何十万件あっても、できてはつぶれる、を繰り返してほしくない。食の安心や安全が疑問視されたりもしている今の時代。拡大路線や儲け重視に走りがちな飲食店が増えている。そういうもんじゃない、ってことを多くの人に伝えたい、もっと知ってほしいんです。居酒屋の原点、それは企業ではなく“家業”なんだよ。お客様が「大将は変わらないね」ってお客さまが言ってくれることが私にとっては最高のほめ言葉。生涯現役でずっと現場にいたいんだよ。


「鮨きらん」では着物と割烹着姿のひさ子夫人がおかみとして店を盛りたてている。長男の圭祐さんは「幼少の頃、学校の文集に“駒八の社長になる”って書いてたんですよ」とごく自然なことのように語る。「昨年の秋にうちの息子が結婚したんだ」と八百坂さんは顔をほころばせる。「駒八のダーツバーで知り合ったんだよ」。江戸時代から庶民の間にも酒をたしなむ風習が広まり、さまざまな歴史小説などにも、酒場で庶民が一杯のんで憂さを晴らすシーンが登場する。「居酒屋」チェーン店が乱立する今だからこそ、今一度、居酒屋とは何なのか、そして飲食業のこれからとは?「駒八」大将の八百坂仁さんは、満を持して3月28日から「居酒屋経営塾」をスタートさせる。 (藤本みすず)


「駒八」大将、八百坂仁の居酒屋経営塾

【会社概要】

商号;株式会社駒八

住所;東京都港区芝5-12-4

TEL03-3456-1271

代表取締役;八百坂仁

創業・設立;19758

事業内容;居酒屋を中心に日本料理店、寿司、立ち飲み、ダーツバーなどグループ18店からなるフードサービス事業

グループ会社;有限会社駒八フーズ、有限会社ハイブリッヂ、有限会社キー・プランニング、有限会社J.Oプランニング

株式会社駒八 

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://www.food-stadium.com/column/76/trackback.html

トラックバック一覧(1)

INTERVIEW一覧

飲食店PRスタッフ急募!

いろんな業態の飲食店を
メディアにPRする仕事です。

http://www.food-stadium.com

出店・業態開発の相談は

物件探しのお手伝いから
開業、販促プロデュースまで

www.cachette.co.jp