INTERVIEW
「ドーナツプラント」跡地の新業態「イート モア グリーンズ」の全容とは?株式会社ビッグイーツ代表・後藤順氏
2月23日のヘッドラインで紹介した、株式会社ビッグイーツの新業態「イート モア グリーンズ」。同店は、12月まで同社が経営していた「ドーナッツプラント麻布十番店」の跡地に誕生する。その新業態の全容とは? また、既存店へと新業態に生まれ変わらせた背景には何があったのか。できたばかりのリリース資料を自ら手にした代表・後藤順氏に、その秘話を伺う時間を頂戴した。
日本にはまだない、ベジタブルカフェをつくろう!
ベジタブルカフェ&ベーカリーの「イートモアグリーンズ」。どんな店なのだろうか。
「ナチュラル志向のフード&アルコールを提供するカフェと、ブレッドを販売するベーカリーの2機能を併せ持った店です。カフェでは野菜と穀物の植物性素材を主としています。農家の方々産地直送していただく旬のおいしい野菜が豊富です。カフェのメニューもベーカリーのブレッドも、肉・魚・卵の不使用は共通。ベジタリアン志向・ビーガン(完全菜食主義)志向の方を念頭においたメニューですが、そうでない方々にも普通の料理と同じ感覚でおいしく召し上がっていただけるよう、工夫を凝らしています」
構想を得たのはNYマンハッタンのローワーイーストサイド。ドーナッツプラントの生まれ故郷だ。この地域には、人々が日常的に通う「ベジタブルカフェ&レストラン」や「ベジタブルデリ&ベーカリー」が1ブロックに1軒は必ず存在する。NYには、食の安全意識が高く、ストイックな食生活を実践する多くの人々がいる。
「9・11の同時多発テロ事件以来、その傾向が高まり、ベジタリアンやビーガン(完全菜食主義)の人が増えています。従来の宗教的な志向というよりも、日々の食事をナチュラルでヘルシーな内容に変えることで、自分の身体をいたわりたい。殺生した動物を食べるのではなく、身体によい野菜の栄養をたくさん採りたい。そして心も身体も穏やかになり、ピースフルに過ごしたい、という純粋な心がけなのです」
2003年にドーナッツプラント展開のライセンス契約を結んでくれたNYのオーナー、マーク・イズリアル氏も、筋金入りのベジタリアンだ。ベジタリアンレストランで共に食事を重ねるうち、彼の持論「eat more greens(野菜をたくさん食べよう!)」に後藤氏もすっかり魅了されていった。彼の持論をコンセプトとし、日本にはまだなじみのないベジタブルカフェ&ベーカリーを、ドーナッツプラントの延長線上につくろうと、2年前から温めていたのだ。それは、ドーナッツプラント麻布十番店がオープンした時期と一致する。
日本生まれ・オリジナルブランドの「イートモアグリーンズ」
ドーナッツプラントは、NYの同店とライセンス契約を結び、株式会社ビッグイーツが日本に上陸させた店。一方、イートモアグリーンズは同社が自社開発した、日本生まれのオリジナルブランドである。後藤氏が目指したのは、地元の野菜を使ったヘルシーでおいしいメニューを掲げ、NYの日常に溶け込んでいる現地の店。その味と空気感をつくり上げようと、社内スタッフと共に渡米しては、ベジタリアンレストランで食事。1日に10食以上食べ歩き、メニュー開発に力を注いだ。
カフェメニューでは、現地でポピュラーな「ライス&グレイン(ライスサラダ)」のほか、「ベジタパス」、「ベジタブルピッツァ」などのカテゴリーを設けている。一例を挙げると、ペペロンチーノ、ニョッキ、キッシュ、ピザなど、ごく見慣れたメニューが並ぶ。ベジタリアンカフェといえども、排他的・ストイックなイメージは皆無だ。それはドリンクにも象徴されている。ソフトドリンクに加え、アルコールもラインナップ。オーガニックワイン、ビール、日本酒、自家製リキュールを用いたカクテルなど、あらゆる趣向に対応する。ベーカリーのブレッドには、あんぱん、ジャムぱん、クリームパンなど、誰もがなじみやすい、日本生まれのパンも登場予定。毎週日曜日にはテラスでサンデーマーケットも企画している。
「産地の農家の方々に来ていただき、マーケット会場とします。お客さまは、店内で食べたメニューの野菜を、生産者の方と直接会話しながら購入できるのです。生産者と購入者がコミュニケーションすることによって、両者が距離を近づけてほしい」と後藤氏は語る。
麻布十番には、外国人居住者も多い。ゆえに、ベジタリアン志向の店が浸透しやすい街だ。後藤氏が6店舗目のドーナッツプラントをこの地にオープンさせたのは2年前。35坪の角地には、キッチン、カフェスペース、そしてテラスを併設。この時すでに、イートモアグリーンズの構想があった。ドーナッツプラントを育てつつ、知名度を高めつつ、ゆくゆくは新業態の1号店として生まれ変わらせようと狙った。
「イートモアグリーンズには、ドーナッツプラントよりも少し大きなキッチンが必要。それに、サンデーマーケットで産地の野菜を販売するスペースも欲しかった。この物件であれば、キッチンを拡張することもできるし、テラスでマーケットを開くこともできる。麻布十番という立地も、申し分ないものでした」
コアなターゲットに愛される店でありたい
イートモアグリーンズに冠された「ベジタブルカフェ」とは、「ベジタリアン」という食の志向そのものを軸とした、日本における新しい業態だ。フレンチやイタリアンといった、国とその料理方法によってジャンル分けされた従来の業態とは異なる。2号店の出店は、業態をしっかりと育てあげてからにしたいと後藤氏は語る。
「株式会社ビッグイーツは、ナチュラル&ベジタブルを掲げるイートモアグリーンズの開店によって、新たな業種業態のリーディングカンパニーとなることを目指しています。しばらくは麻布十番の1店だけで続けていきます。万人に好かれる店でなくてもいい。コアなターゲットに愛される店、コアなターゲットにとってメジャーな店でありたいのです」
ベジタブルカフェが、日本においてどのように浸透・定着していくのか、楽しみである。なお、ドーナッツプラントは、今年9月にソウル店、10月に沖縄店が開店予定。そして後藤氏は、ナチュラル&ヘルシーのスローライフを提案する、ドリンク中心の新たな業態も構想している。
株式会社ビッグイーツ 代表取締役社長 後藤順(ごとう じゅん)1965年4月19日生まれ。
カフェやレストランなどの飲食店プロデュースを経て、2002年6月に株式会社ビッグイーツを設立。
同年9月、丸ビル1Fに「Marunouchi Cafe ease」をオープン。
翌2003年11月には、NYで人気の「ドーナッツプラント」をライセンス契約を交わし、事業展開をスタートする。第一号店は、現在ではベーグルファクトリーを併設し、カフェ&テイクアウト利用に対応する2004年5月オープンの白金台店。以後、大手町、自由ヶ丘などへの出店を続け、現在では直営店を9店舗構える。なお、ドーナッツやベーグルは、「ディーン&デルーカ」、「成城石井」、「スターバックス」などへも卸販売している。
2007年3月、同社にとって3業態目となるベジタブルカフェ&ベーカリー「イートモアグリーンズ」を麻布十番にオープンさせる。







