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2006-08-02

「大人の海の家」と「神田須田町で話題のそば屋」その共通点わかりますか??

湘南に出現したスタイリッシュ&ラグジュアリーな海の家。一方、老舗の名店が軒を連ねる神田で、ひそかな新風を巻き起こしているそば屋がある。まったくの異種に思えるこの2軒だが、そこには共通する“イガイな”キーワードがあった。さて、お分かりですか?

【まず、本年注目度No.1の海の家「KULA」の真価をはかる】


「シャンパン片手に湘南の海をプライベートビーチにしてしまおう。」 2006年7月15日、湘南腰越海岸にオープンした大人のための海の家「KULA」。明けない梅雨に青息吐息の海岸ビジネスのなか、「江ノ島花火大会・特別コース」の予約はすでに満席。ビーチと施設を事前に予約する事ができる「プレミアムクラス」(1日40名限定)も利用料9,000円と決して安くはないが、すでに週末の予約は取りにくいという盛況ぶりだ。

従来の海の家の最大の難点ともいえるアメニティー面 に力を注いでいる。シャワー施設の“清潔感・快適性”やタオルサービスなどに加え、海を眺めながら楽しめるオシャレな写真集やアート本を揃えたり、人気のTHE BODY SHOPのリフレクソロジーを受けられたりと、「都会の女性」に顧客層を絞っているのも特徴的だ。

 

【「カフェスタイル×地元の名産」湘南で出会う非日常の味】


フードをふくむサービスのトータルプロデュースは目黒の「HOTEL CLASKA」などを手掛けるトランジット・ジェネラル・オフィス。「カレー・ラーメン・かき氷」といった海の家の定番とは一線を画す、トランジット「らしさ」が発揮されたメニュー構成になっている。


「スタンダードクラス」の料理がランチボックスで提供されるのに対し、「プレミアムクラス」は陶器の皿に盛りつけられ、席まで運ばれる“レストランサービススタイル”となる。 仕入れによって変わる「シーフードのグリル」や「ハワイアンスペアリブ」、「オールディブレックファースト」や「シナモン風味のバナナパンケーキ」といったリゾート感あふれるメニュー。旅先のあの“気だるげな開放感”と“非日常の楽しさ”を食を通して味わえる。


青山や目黒のカフェのようでありながら、地元の名物シラスを使ったピザや鎌倉ソーセージなど“ここ以外では味わえないようなもの”にもこだわった。

 

【「KULA」誕生 そのバックグラウンドを知る】


「KULA」の主催・企画は株式会社「明日の人」。代表取締役・本山淳平氏は29歳という若さながら前職・大手広告代理店で築いた人脈を生かし、ジャンルをまたぎ幅広くPR・企画事業を展開している。この海の家のオープンは、「鎌倉市腰越海水浴場組合」の組合員である本山氏の友人からの依頼がきっかけだった。腰越海岸自体が5年をかけての再開発に取り組もうとしている。「停滞気味の地域の活性化の一端になれば」と本山氏自らが『腰越海岸リノベーションプロジェクト』と銘打ち、東京から人を呼び込める「スタイリッシュな大人のための海の家」を提案した。

「KULAの開店・営業には地元の方々の協力に依るところが大きいです。」と本山氏。「イベントによっては音や光が多く出てしまうこともありますが、その辺をよく理解していただいています。地元の他店で働いている方が来店してくれたり。洗濯を手伝っていただいたりもしているんですよ。」テーマは「東京×湘南」。建物は「アルミ×ウッド」。フードは「カフェスタイル×地元の名産」。都会と地域色を対称軸に据えながらも、“地元らしさ”を大事にするという根底は揺らいでいない。

 

 

【神田須田町に新進気鋭のそば屋誕生!…までの少し長い道のり】


 老舗の蕎麦の名店が軒を連ねる神田須田町で、オープンわずか1年半強ながらそば通の間でつとにその名を知られた話題のそば屋「眠庵(ねむりあん)」。日替わりで産地を変え、2種のそば粉を使い分けて打たれる十割そば。舌ざわりに印象がありつつも、のど越しがよく、香りが立っているのでつゆをつけなくても実に美味しい。若き職人、柳澤 宙(ひろし)さんの人柄を表すような潔くすがすがしい印象のそばだ。


柳澤さんが理系大学卒業後、就職したのは化粧品メーカー。ファンデーション等のパウダーの“粒子”を顕微鏡でのぞき、“香り”を測定する。その研究員としての技術や経験、探究心がそのまま「そば」へシフトされる。会社の移転を機に退職後、趣味の食べ歩きや山登りをしながら車で全国を廻った。もともとそばは好きだったが「気付けばそばばかり食べていたんです。」と柳澤さん。各地でそばを食べながら有名・無名のそば屋、農家の人、“志を同じくする”そばに関わる人々と知り合った。それらの貴重な出会いと、さらには長野・松本の祖母が幼い日に打ってくれた“冷たいおそば”の気憶が、「そば屋になろう」という決意の背中を押した。柳澤さんのそば打ちは全くの独学。だがその修業期間は6年半と長い。中国のそばの研究取材に同行、石うすの“目立て”の研究に参加、又、そばの実の成分分析といった「学術的アプローチ」と、東京農業大学技術センターを借りてのそば打ちの特訓、蓼科横谷温泉旅館をはじめ、懇意となった各地のそば屋の繁忙期のそば打ちを手伝うといった「実践的アプローチ」を着実に積み重ねていった。


2004年12月24日「眠庵」開店。オープン後話題の店となるのに時間はかからなかった。翌年2月には早くも『帝国ニュース』太野祺郎氏の「そば行脚」のコーナーに「下町の新風」として取り上げられる。そば好きの間で評判は広まり、最近では「そば特集」「下町特集」には必ず登場する人気の店となっている。

 


【話題のそば屋が話題なもうひとつのワケ】


「眠庵」が注目されるのにはその味以外に、もうひとつ理由がある。「眠庵」を目指し断念した人、前を通っていながら見つけられなかった人も少なくないだろう。というのも道路に面した入り口部分はわずか半間(90センチ)。小さな表札のかかる門をくぐり、細い通路の先にひっそり佇むのは神田の町にふさわしいレトロな風情の店構え。このそば屋の魅力はその「隠れ家」感だ。町を徘徊し、迷いながらようやく巡り会い、はじめてその味に辿りつけるというところに醍醐味がある。


この店舗はもともとボロボロの大正築の民家だった。修行をしながら物件を探すこと5年。柱や土台までがひどくゆがみ、はじめは正直「難しいかな」と思ったというこの古民家。ところが図面を引いてみたところ厨房が不思議なほどぴたりとはまった。「これならいける」と確信し、柳澤さんのたった一人での「リノベーション」が始まった。土台にコンクリートを流すといった基礎工事こそ業者に入ってもらったが、トイレの内装や床のオイル拭き、壁の左官作業に至るまで3ヶ月半をかけ一人で仕上げた。

【“リノベーション”というキーワードでつながる「海の家」と「話題のそば屋」】


「“リノベーション”ということを強く意識したことはないんです。」と眠庵の柳澤さん。「この近所に須田町医院という良い感じの建物がありましたが取り壊されました。この店(眠庵)の隣2軒(レストランと元印刷会社)も近く取り壊され12階建てのビルになります。やはりこの地域も小規模な開発・変遷は避けられないでしょう。だから先のことは分かりませんね。ただ10年はこの地でやろうと思っているんですよ。」とまっすぐに語る視線に迷いは微塵も感じられない。


一方KULAの本山さん「今はまだこの海岸の活性化の役に立てているかは分かりません。夏が終わりこのKULAが閉店したときようやく、何が出来たか、その“リノベーション”の意味が見えてくるんでしょうね。」スタイリッシュでラグジュアリー、その華やかさばかりに目が向きがちだが、単なるお祭り騒ぎ的なもので終わらせまいという意気がある。


“知識と人脈と知恵”を持った若い才能が、肩ひじはらない自然体でありながら、非常にハイレベルな店舗作りに成功している。実体験としてその土地を知らないが、柔軟なバランス感覚で新しい付加価値を作ってしまう面白さ。その新しい価値観に惹かれ、人の流れが生まれてくるのは当然だろう。そんな時代の希求と雰囲気をうまく汲んでいるのが「リノベーション」というキーワードのようだ。声高に再生・保存を叫ぶのとは違う、ヨコモジの軽妙さが「いま」にふさわしい。

 


名称;KOSHIGOE TOMMY HILFIGER BEACH "KULA"(クーラ)
場所;神奈川県鎌倉市腰越海岸
期間;2006年7月15日(土)〜 8月31日(木)
時間;昼営業9:00〜19:00/夜営業19:00〜23:30 (金・土・日・祝以外は22:00まで)
http://www.ku-la.com/


店舗名;「眠庵」
住所;千代田区神田須田町1-16-4
電話;03-3251-5300
営業時間;12:00-14:00,17:30-21:00
不定休;現在のところ日曜日(終日)と月・水・金曜日の昼(12:00-14:00)はお休み
http://www.nemurian.net/

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