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2005-10-06
ブームの予感?!
ブームの予感?!
芸能界、スポーツ界からの飲食ビジネス参入が急増!
ケーススタディー(1)「Chanko Dining 若」の事業戦略
10月7日(金)、埼玉県・大宮に「Chanko Dining 若」がオープンする。2003年3月の六本木店開店以来、二年半で10店舗の出店速度は決して遅くはない。元横綱、花田勝氏が代表取締役を務めるドリームアークは、今後さらに2年間で計25店舗の出店を予定しているという。同社取締役社長の大森幹也氏に「若」のこれから、そして新業態の展開についてインタビューした。
■2年半の間に「若」ブランドを10店舗展開
10月7日に大宮店がオープンしますが、これまでの出店履歴を教えていただけますか。 大森氏 まず、六本木に「Chanko Dining 若」がオープンしたのが2003年3月です。オープン当時、西川りゅうじんさんに雑誌で取り上げていただき、「セレブリティーマーケティング」と名づけていただいたように徹底的に高級感にこだわったちゃんこ店として他店との差別化を図ってきました。この六本木店で培ったブランドイメージこそが現在の事業展開の柱になっています。二店目は2004年にオープンした道頓堀店で、同店は直営ではなくフランチャイズ店になります。その後、北新地店、渋谷店、名古屋栄店、銀座店、新宿店、韓国ソウル店と続きました。大宮店に次いで、11月21日には福岡店がオープンしますが、今年中に「若」をもう数店出店し、年内で全15店舗になる予定です。 編集部 二店舗目がすぐにフランチャイズ店なのですね。FC化は当初から計画していたのですか? 大森氏 いえ、初めから計画していたわけではありません。六本木店をオープンさせてから、ぜひやりたいという方から多くのお問い合わせをいただいて、フランチャイズ事業に乗り出すことになりました。現在、東京の4店のドミナント店は直営店で、地方の店舗はすべてフランチャイズ店になっています。フランチャイズ店は六本木店をベースにした業態を展開しています。 編集部 直営店とフランチャイズ店はまったく同じ「若」ではないのですか。 大森氏 あまり知られていないのですが、実は「若」はA、B、Cの3つの業態に分れており、それぞれの業態ではメニューも異なります。まず、六本木店をはじめ、紫の看板を掲げている「B」は、客単価6000円から7000円の業態です。フランチャイズ店はすべてこの「B」になります。渋谷店の「C」は、空間、料理、器などをカジュアルにアレンジした客単価5000円の店です。場所の特性に合わせ、宴会ニーズに対応した設定になっています。実際、宴会も多いほか、多くの女性客の方にご来店いただいています。もう一つが銀座の「A」です。これは客単価1万円の高級業態です。懐石料理の要素を取り入れ、接待や各種会合などにご利用いただける、銀座以外には出店エリアを考えにくい業態と言えますね。 編集部 9月23日にオープンした韓国ソウル店もフランチャイズ店なのですか。 大森氏 ソウル店は韓国の企業と共同出資して運営会社を設立して出店した店舗です。今後も韓国をテーマに様々な事業展開を計画していますので、その先駆け的な店舗と言えます。 編集部 直営店の経営とフランチャイズ事業はすべて株式会社ドリームアークが手掛けているのでしょうか。 大森氏 花田が代表取締役を務めるドリームアークは、東京の直営店4店を経営する運営会社です。フランチャイズ事業に関しては私が代表を務める株式会社NHOが担います。ドリームアークと業務委託契約を結び、フランチャイズに関わる各種業務を行っているほか、フードビジネス関連の商品開発、企画業務を事業の柱にしています。社員数は現在、ドリームアークが60名、NHOが15名ほどです。 編集部 運営はドリームアーク、企画はNHOという役割分担になっているのですね。 大森氏 ドリームアークはあくまで「若」の運営を事業主体とする会社で、その他の業務をNHOが担っています。現在、NHOには飲食業界の様々な分野のエキスパートが集まりつつありますので、今後は飲食店プロデュースやコンサルティング等の事業を手掛けていく予定です。現在は8名のスーパーバイザーが、日々フランチャイズ店の支援に走り回っている状況です。 ■新業態の焼肉店「ROKU ROKU TEI」が意味するもの 編集部 9月、六本木店のビルの一階に新業態店「66亭」がオープンしていますね。 大森氏 「66亭」はNHOが企画・運営を担当した初の店舗となります。焼肉業態を企画しようということになったのですが、アメリカ産の牛肉が輸入できず、オーストラリア産がメインとなる現状では、お客様に満足していただける単価の安い業態は確立できないと判断しました。ですから、あえてこの時期ならば、最も品質のよい最上級ランク、「A5」の和牛のみを提供する焼肉店を出店しようと考えました。産地にはこだわらず、仕入れの時期に最もクオリティーの高い和牛を仕入れ、客単価5000円の焼肉店を作ろうと企画したものです。 編集部 空間はカジュアルなデザインが施されていますが、オープンして一ヶ月の現在、客層はいかがですか。 大森氏 そもそも地下階の「若」とはまったく別の客層になっており、若い世代のお客様がメインになっています。ただ、客単価は想定していた5000円より高く、7000円ほどになっています。今後は、よりカジュアルな方向に調整していきたいと考えています。 編集部 あえて下げるわけですね。 大森氏 豪華な空間の中で、高くて質のいい素材を提供する客単価1万円、2万円の焼肉店にするのはある意味、簡単なことと言えるでしょうし、確かに経営も楽でしょう。しかし、私たちが視野に入れている今後の店舗展開を考えると、A5の和牛を使用する焼肉店であっても、あくまで客単価5000円の店としてブランディングしていくべきだと判断したのです。 編集部 仕入れの部分では、やはり“横綱”の店だけに、おかしな食材は入れられないという業者が多いのでしょうか。 大森氏 いえ、そんなことはないんですよ。現在は一社のみとお付き合いをしていますが、やはり仕入れには店側と業者間にほどよい緊張感が必要ですね。 ■「若乃花」というブランドと飲食店経営 編集部 これまで花田さんの意見はどのように、またどの程度、反映されてきたのでしょうか。 大森氏 私たちが手掛けるすべてのプロジェクトの全てに、花田の意向が反映された企画と言えます。新規プロジェクトを立ち上げる際は、まず企画を立案し、花田にプレゼンする形をとっています。そこで大幅に変更が加えられるケースも少なくありませんね。花田はこれまで、さすがに日本全国のおいしい食材に接してきていますし、“この商品ならいくらで出せる”という確かな視点を持っています。そこに花田勝プロデュースの価値があると言えるでしょう。 編集部 各プロジェクトは花田さんの視点が大きく反映された企画であるわけですね。 大森氏 確かに花田がプロデュースした店であることには違いありません。しかし、こういう言い方はどうかと思いますが、花田というブランドがなくてもお客様に来店していただける店でなくてはならないと花田自身は常々考えてはいます。「若」の業態は、ちゃんこ鍋という商品をベースにダイニングの要素を取り入れたものです。つまり、ちゃんこ鍋を基盤にしながら、時代時代で流行っている商品を付け加えることで、時代に合った商品を提供できる業態になっているのです。例えばの話ですが、ハワイアンメニューが流行ったのなら、ちゃんこ鍋とともにメニューブックにハワイアンメニューがあってもいいわけです。いつの時代もお客様に支持される店でありたいといつも考えていますよ。 編集部 “花田ブランド”に頼りきらない店舗運営が重要ということですか。 大森氏 もちろん、花田はほとんど毎日のように会社にいます。本当にいつも仕事の話ばかりしています。つまり本気なんです。タレントとしての仕事で外出することもあるのですが、会社としては、店舗のブランディングに必要なこと以外はあまりして欲しくないと考えてしまうほどです。単なる名義貸し、名前貸しではないことをお分かりいただけるでしょうね。本人が本気ですから、それはもちろん従業員も当然、本気になりますよ。従業員の離職率でみても、弊社の離職率は、外食企業としては非常に低いレベルで推移してきています。 編集部 タレントの店だけに派手な印象も受けますが、事業展開に決して派手さは目立ちませんね。 大森氏 例えば、とてもおしゃれなエリアに出店している、とてもおしゃれなレストランがあったとしましょう。花田以下、私たち全員が見るのはそのレストランを出店するのに、物件の取得費や内装工事費に一億円以上の投資が必要だろうなという点です。社員のだれもが、そういう店では仕方がないということを重々承知しながら店舗を経営していますよ笑。 編集部 タレントの店というよりも、まさにいまどきの外食ベンチャー企業のような経営ですね。 大森氏 例えば、フランチャイズについてもすべて契約書ベースで取り決めをするようなことはありません。ちょっとうまくいかない点があれば、スーパーバイザーはじめ、当社のスタッフが直接いってサポートにあたります。本部とフランチャイジーがまるで共同経営のような付き合いをしています。ですから社風はいわば“人情系”と言えるでしょうね笑。 編集部 タレントが飲食店を経営するメリットはどのような点だと思われますか。 大森氏 もちろん、話題になればなるほど、確かに集客にはつながります。いろいろと取り上げられた最中にオープンした新宿店の繁盛ぶりはすさまじかったですからね。また、ある店では、50坪で3000万円、4000万円の売上があったこともありました。しかし、話題性に頼る経営をするつもりは毛頭ありません。話題性だけで常に集客できるとは思いませんし、話題性で食材を安く仕入れできるわけではありませんからね。 編集部 メリットばかりではないと。 大森氏 もちろん、タレントの店であることは、デメリットでもあります。つまり危機管理業務が必要不可欠になるのです。ちょっとした店内の問題が「事件」になってしまうことさえあるのですから。普通のお店にはあり得ないことでしょう。現在、社内では危機管理を担う部署の立ち上げも計画しています。 編集部 今後の事業展開をお教え下さい。 大森氏 いま、まさにもう一度、店舗運営を一から見直しています。外部のコンサルティング会社に依頼して、あらゆる角度から店舗経営を見直ししている段階です。今後は年内で「若」を計15店舗、これから二年以内に25店舗、展開したいと考えています。 編集部 その先にはやはり、上場という目標があるのでしょうか。 大森氏 現在のところは上場をゴールとは見なしていません。会社が抱いている夢は社員の独立です。タレントの店であることから生まれる弊社ならではの価値をそれぞれの従業員がうまく利用してくれればいいなと考えていますよ。 編集部 芸能界、スポーツ界からの飲食店参入が目立ってきている状況がありますが、今の状況をどのようにお考えですか。 大森氏 もちろん、日本のトップアスリートの方々が飲食店を展開していくのはいいことだと思いますよ。アスリートの方々は当然、食に関してもプロフェッショナルですからね。しかし、繰り返しにはなりますがやはり、名義貸し、名前貸しではどうしてもうまくいきません。店にいないならまったく意味はありませんよ。
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