編集長のつぶやき
大不況を勝ち抜く3大コンテンツ

2009年は確実に大不況に突入する。政治も大波乱。なにせ100年ぶりの転換期だから、世の中が荒れる。人々は「食べること=生きること」という生存の原点に回帰する。そんな時代を勝ち抜くには…。
その3大コンテンツを予測してみた。
1、横丁…不況になれば、人は孤独になり、雑踏に寄る辺を求める。人々が肩寄せ合い、袖すり合う場に足が向く。2008年のヒットコンテンツの一つなった「恵比寿横丁」はある意味、不況時代を先取りしていたと言えるかもしれない。かつてのシンボル的な横丁「新宿思い出横丁」「新宿ゴールデン街」なども元気。2009年には「恵比寿536」はじめ、赤坂、町田などで新しいテイストの横丁が次々に生まれる。また、横丁的猥雑さのあるガード下の店、古い一棟建てビルや一軒家のリノベーション物件を利用した飲食店が注目されるに違いない。
2、鍋…不況になれば「鍋」である。戦後に登場した実存主義小説家の椎名鱗三作品に『深夜の酒宴』がある。いまベストセラーになっている『蟹工船』がプロレタリア文学だとすれば、椎名の作品はアナーキーな空気に満ちている。でも、キリシタンだった椎名は最後に神の救いをもってくる。『深夜の酒宴』は、貧困、苦悩、絶望などの極限状況に陥った主人公たちが偶然出会い、古びた倉庫の片隅で鍋をつつきながら、酒を傾け、それぞれの人生を語り合う。その鍋は、長ネギと豆腐だけのシンプルなもの。そして、ある主人公が語る。「現在が耐えがたいからといって、希望の無い者には改善など思いがけないことだ」。救いのメッセージである。鍋を囲みながら希望を想うのである。街を歩くと、イケてない居酒屋が「もつ鍋」「コラーゲン鍋」と“流行り鍋”を売りにする。そうじゃない、もっとシンプルな“隠れ鍋”が2009年には相応しい。
3、B1グルメ…これは絶対に来る!B1グランプリというイベントがある。もう3年目を終えた。全国のご当地B級グルメが日本一を競うイベントである。“A級郷土料理”は2008年で出尽くした感がある。もう業態コンセプトしては限界を迎えている。残るのはAPカンパニーのように、自ら生産者となって川上コンテンツを押さえるやり方しか残されていないような気がする。その半面、B級グルメ、ご当地名物は単品で勝負できるだけに強い。B1グランプリは、開催が始まって2年連続して「富士宮やきそば」が優勝し、3年目の2008年は「厚木シロコロホルモン」がウィナーとなった。両方とも、商品としてはマイナーである。しかし、マイナーだからこそ、オリジナリティ、スペシャル感がある。2009年はB1グルメを売りのメニューに取り入れる動きが増えるに違いないだろう。
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【筆者プロフィール】
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。





