編集長のつぶやき
攻撃は最大の防御なり!

先週のつぶやきでダイヤモンドダイニングの松村社長のことを「賞を取って浮かれてる場合じゃない!」と書いたら、さっそく彼から呼び出しがあった。「立川が爆発しています。見に来てください!」
昨日の19時30分待ち合わせ。立川駅北口駅前に新しくできた商業ビル「NIS WAVE」7階にダイヤモンドダイニング(DD)の大型店「TACHIKAWA お伽噺」がある。オープンは2月7日。19時頃ついたので、まず6階のフロアをリサーチ。モンテローザの「月の宴」や「黒まる」などがある。ファサードが閉鎖的で、どの店も同じような構え。スタッフが誰も店から出て来ない。しばらくエレベータホールにいたが客足も弱い。7階へ。エレベーターを降りると、レセプションスタッフが立って客を出迎える。「一寸法師」(220席)「花翁」(140席)「ぶたの恩返し」(90席)の3業態複合店、総面積250坪500席の超大箱である。複合店「お伽噺」シリーズは池袋、上野に続く3店舗目。立川はプレスレセプションを開催しなかったため、私も行きそびれていた、というか、立川まで行く動機が起きなかった。“業態開発ナンバーワン”を標榜するDDのいわゆる“業態”について、「キャラクターを量産しているだけ」という冷めた見方も業界で出始めたいたから、「立川もどうせそうなのだろう」と思っていたからかもしれない。
「サシで会いたい」と私は松村さんに申し入れていた。時間少し前に店に入ると、松村さんはまだ来ていない。席に着くと、時間きっかりに電話が入った。「ビルの下にいます」。「宮本武蔵だな」と思った。そうか、ビルで出迎えるつもりだったのか。遅刻しただけかもしれないが、悪い気はしない。松村さんは席に着くなり、「ご覧の通り、爆発してますよ。こんな複合業態をつくれるのは、いまウチしかないでしょう!」と強気で“専制攻撃”に出た。確かに満席、宴会も何組と入っている。月商予算4,000万円のところ、「オープン以来130%のペースで来てます。3月は5,000万円以上売りますよ」と“機関銃トーク”。反撃の余地がない。「これから大変でしょう。マラソンでも折り返しから35キロあたりが一番苦しい。これからの出店は1業態1業態手を抜けませんね」と水を向けると、「いや、サッカーでいう“超攻撃型”でいきますよ。見ていてください」とあくまで強気。まさに“攻撃は最大の防御なり!”である。その強気の攻めで、既存のチェーンと地元系飲食店に飽きていたマス客をつかみ、“先制点”を上げたのは事実のようだ。
DDは3月に入ってからまた出店攻勢に出る。3月1日、恵比寿に九州料理・焼酎「九州男道」をオープン。「つぼ八」の居抜きをどう変えるか見ものである。改装費用は「1,000万円かかっていない」という。立川には約2億円を投じ、恵比寿は1,000万以下。この緩急自在ぶりの攻め方もDD流といえる。箱の大小もそう。3月6日グランドオープンの話題の商業施設、赤坂Bizタワーに出店する55店舗目の初の中華業態「爆麺(バオメン)闇雲堂」はわずか8坪。中華麺におこげをのせて熱いあんをかけたオリジナル麺だ。夜はスタンディングバーに様変わり、点心をつまみながら紹興酒を楽しめる。Bizタワーには際コーポレーションの中華「DRAGON RED RIVER」も出ることから、松村さんの中島さんへの“挑戦業態”とも言える。この中華対決も見ものである。3月はさらに幕張で56店舗目、4月には五反田「remy」にイタリアンを出すなど、出店が続く。
立川「お伽噺」を出るとき、松村さんは「もう一軒行きましょう」と誘ってきた。「ぐるなびの立川エリアでのアクセスランキングでワンツーはウチの店なんですが、3位にいる店があるんです」。どうやら「お伽噺」が出るまでは1位を独走していたとか。その店は株式会社APカンパニー「わが家 魚米」だった。実は「わが家」が上野に出るとき、私はメニューブックを監修させてもらった経緯がある。社長の米山久さんも“超攻撃型”。八王子から都心に攻め上ってきた若手注目株で、「わが家」「魚米」をはじめ、宮崎地鶏「じとっこ」のライセンス展開をおこなっている。「立川 魚米」は“ミニ権八”。ここが人気ナンバーワンだったことが何を語るのか。松村さんの感想は「ローカルはまだトレンドに飢えているんです。色気とスケール感を演出できる店は勝てますよ」。ローカルマーケットでも確実にDDやAPカンパニーのような“ニューチェーン”への主役交代が進み始めているのは確かなようだ。
【筆者プロフィール】
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。
夢と情熱とソロバンと

怒涛の一週間だった。ダイヤモンドダイニング松村厚久社長の「外食アワード」授賞祝賀パーティー、エムグラント井戸実社長の「ふくのかみ」浜松町店オープン、そして…
この一週間、休む暇がなかった。2月14日には“サードG”理事最年少で国分寺に「うさぎ亭」など3店舗を持つ小島直人さん(「なおと」と呼んでください、と本人)が初めて独立支援型でオープンした「猿吉(えてきち)」のレセプションに。既存店はどこも地元の常連で賑わう。「なおと」に初めて会ったとき、「もしかしたらコイツが居酒屋業界を将来変えるかもしれない」とピンときた。母親譲りらしい飲食人としての情熱とソロバンを兼ね備えている。方向性は楽グループの“宇野イズム”、それを受け継いだ上昇気流の“笹田マジック”を踏襲。「そこにしかない店のオーラ」をつくっていく。「なおと」はこれから都心に活躍の場を移すという。どこでどんな店をやるのか、いまから楽しみでならない。
18日はダイヤモンドダイニング松村厚久社長(“サードG”代表幹事)の「外食アワード2007」授賞祝賀パーティー。主催者側で、どのくらいの人がお祝いに来てくれるのか、ヒヤヒヤしながらこの日を迎えたが、あかげさまで大盛況。会場の銀座「砂漠の薔薇」は300名を超える方で溢れた。当の松村さんとは1号店の「バンパイアカフェ」からの付き合い。ちょうど『アリガット』編集長のときオープン、「面白い店をつくる奴だな」と思った。私が行くと、どこからか必ず挨拶に駆けつけてくれる。笑顔だが目が笑っていない。決して鋭いわけではないが、空を刺すような視線。その視線の先が読めなかった。しばらくブランクがあった後、5店舗目の「竹取百物語」をフジサンケイビジネスアイの連載で取材したとき再開。それから53店舗のここまで来るのにわずか3年。彼の視線の先にはこのビジネスモデルがあったのか。これから目標の100店舗達成を目指す。駅伝やマラソンにたとえれば“折り返し地点”。賞を取って浮かれている場合ではない。ここからが大変だ。それは本人が一番よくわかっているはず。“着せ替え業態”にならない本物の業態開発力が求められてくる。夢とソロバンとの葛藤が始まるに違いない。
19日はエムグラントフードサービス井戸実社長(“サードG幹事長”の新店「ふくのかみ」オープニングプレスレセプション。五反田でブレイクした博多水炊きの2号店だが、場所がユニーク。浜松町駅から大型オフィスビルの「東芝ビル」へ行く専用通路を通り、さらに歩いてやっとたどり着ける「シーバンス・アモール」。ここもNTT都市開発所有の大型オフィスビル。東芝ビルと合わせて2万人近いオフィスワーカーがいるという。飲食店はあくまでオフィスワーカーの胃袋を満たす機能でしかないエリアだ。夜は東芝ビルの一部の店を除いてどこも閑散としている。「ふくのかみ」も夜の営業が不振で撤退していった和食店の居抜きだ。40坪60席の高級感ただよう造作をわずかの資金で手に入れた。まさに“ハイエナ戦法”である。井戸さんは30歳、「外食で史上最年少最速最大売上げ達成」を目標とする。居抜きで繁盛店をつくることは容易ではない。しかし彼のソロバンの基準は繁盛店をつくるというより、損益分岐を徹底して低く設定すること。この店も「昼7割、夜3割でも利益を出すこと」。新しい発想の飲食人が出てきたものだ。
20日は創業33年、田町ドミナントで「酒蔵 駒八」を中心に20近くの店舗を運営する八百坂仁さんと「居酒屋経営塾」の打ち合わせを兼ねたインタビュー。常連客から“オヤジ”と慕われてきた八百坂さん、いまでも毎日必ず本店に立ち、笑顔で客を迎える。常連の中には30年前の開店日から平日は毎日通い、定年後のいまも週1回は通うという高島平在住の元サラリーマンもいるという、“恐るべき居酒屋”だ。創業時から板長がつくる新鮮素材の手作り料理を提供。この店から生まれた居酒屋定番メニューも多いという。八百坂さんの居酒屋哲学は“徹底した現場主義”、そして“人肌のようなサービス”。20店舗近くまで拡大しても、「企業ではなく家業に徹する」と言い切る八百坂さん、今年還暦を迎えるのを期に「業界に恩返ししたい」と3月から「居酒屋経営塾」を立ち上げる。6ヶ月単位でワンクール、毎月1回の講義には、ゼットン稲本健一社長、ホッピービバレッジ石渡美奈副社長、デザイナーの神谷利徳氏、ワタミファーム武内智社長など“八百坂ファン”のゲストが顔を出す。なぜか私がコーディネーター役をつとめることになったが、そう言えば、いつのまにか私も月に2〜3回は駒八に通っている常連の一人である。
【筆者プロフィール】
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。
商業施設ラッシュ“春の陣”

昨年ほど大型開発は少ないが、今年も商業施設オープンラッシュの春を迎える。赤坂エリアが大変貌を遂げるほか、銀座にもまた新しいグルメビルが続々と誕生する。
1月は浜松町に集中した。
・1月15日 浜松町「HAMASITE Gurume(ハマサイト・グルメ)」(三菱地所・東急不動産)
・1月22日 浜松町「Moon Street DAIMON(ムーンストリート大門)」(APL)
そして3〜4月、以下のようにオープンが目白押しだ。
・3月6日 赤坂「akasaka Sacas(赤坂サカス)」内「赤坂Bizタワー SHOPS & DINING」(三井不動産)
・3月7日〜4月 六本木ヒルズ「Shop&Restaurants」大幅リニューアル
・3月14日 五反田「アトレヴィ五反田」(東京圏駅ビル開発)
・3月19日 東京ドームシティ「MEETS PORT(ミーツポート)」
・3月24日 赤坂「Hitotsugi LIP」(サンケイビル)
・3月29日 銀座八丁目「JEWEL BOX GINZA」(竹中工務店)
・4月17日 「AKIBA TOLIM(アキバ トリム)」(阪急電鉄)
・4月23日 銀座三丁目「ギンザ・グラッセ(GINZA GLASSE)」(三井不動産)
・4月 五反田「remy(レミィ)」(東急電鉄)
これらの動向を追うと、駅ビル及び駅周辺(浜松町、五反田、秋葉原、水道橋)、赤坂エリア、そして銀座エリアという3つの開発ポイントが浮かび上がる。これらのビルの中に出店する飲食店は、いま最も勢いのある企業であり、トレンド的に注目される業態を発信している“選ばれた銘柄”である。
注目は、赤坂エリアの開発である。三井不動産株式会社は、「赤坂サカス」(赤坂五丁目TBS開発計画)を推進してきたが、3月6日、その目玉となる商業施設「赤坂Bizタワー SHOPS & DINING」をオープンする。オフィス棟には博報堂が入り、飲食ではゼットンのイタリンとシガーバー、P.C.Mの赤坂バージョン、フォーシーズのスペインバルなどが登場。このオープンに合わせて、六本木ヒルズも大幅なテナント入れ替えや新規オープンをぶつけて来る。新川義弘HUGEのリゴレットや渡邉明も出店。そこにサンケイビルが「Hitotsugi LIP」をオープン、「カシータ」のイタリアン、関西出身の「KICHIRI」など話題店が顔を見せる。これまで赤坂は、六本木ヒルズ、東京ミッドタウンの誕生で生まれ変わった六本木に比べ、飲食店密集エリアの割には地盤沈下が激しかった。その赤坂の変貌ぶりに注目したい。
銀座もまた面白くなる。マロニエゲートや有楽町イトシアの誕生で一変した有楽町・銀座エリアに4月23日、今度は三井不動産が「ギンザ・グラッセ」で“楔”を打ち込んでくる。注目は3月29日、銀座八丁目中央通り沿いにオープンする「JEWEL BOX GINZA」だ。竹中工務店のプロデュース。1〜2階にスワロフスキーの旗艦店が出店、飲食も人気イタリアン「Ag」のアナログが朝五時まで営業するインターナショナルレストラン「AURUM」をオープン、バル・ジャパンがオイスターバー「Ostrea」2号店を出店、やはり朝3時まで営業する。7丁目中央通り沿いにも秋に三井不動産が「ティージービル」(仮称)をオープン、エイチワイジャパンの大分・長崎料理をはじめ全国各地の“郷土料理”が集合する予定。これまで銀座7〜8丁目はダイニングスポットとしては難しいといわれた。しかし、汐留の日本テレビや電通などの“メディア&アド”の業界人の遊び場として、深夜営業のレストランやバーが賑わい始めてきた。赤坂エリア、銀座エリア“春の陣”はTBS・博報堂VS日テレ・電通の戦いの様相を呈してきた。
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【筆者プロフィール】
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。
東急VSJRの“五反田駅ビル戦争”勃発へ

1月はJR浜松町周辺に二つの新しい商業施設が誕生して話題を呼んだが、3月から4月にかけて今度は五反田駅周辺が熱くなりそうだ。
3月14日にはJR東日本グループ・東京圏駅ビル開発の「アトレヴィ五反田」、4月には東急電鉄の「remy gotanda」という“駅ビル型”商業施設が相前後してオープンするからだ。五反田といえば、駅前よりも少し街中に入った界隈に飲食店が集中している。それも、どちらかといえば新橋のようにサラリーマン男性相手の店が多く、風俗街があることから、これまで女性客には敬遠されがちだった。それでも、少しずつ「お洒落系」「ガストロ系」が増え、“ミニ恵比寿”的な香りも漂い始めてはいた。
そんな五反田に、JRと東急電鉄は“20代、30代の女性”中心のターゲットのテナントを集めた商業施設をもってくる。まず先行してオープンする「アトレヴィ五反田」は2階にカフェカンパニーが「ワイアード カフェ」が登場。昨年7月に「上野アトレ」に出たから、“アトレ族”のターゲットがカフェカンのコンセプトに合致するとアトレ側が考えているのだろう。上野アトレでは「buri」「バニュルス」もアトレ側の希望で出店したというから、かなりデベ主導でMDが決まっているようだ。
3階以上は3階が式会社サンケイ会館が鮮魚・郷土料理の「瀬戸内」。4階はジェイプロジェクトの「芋蔵」。5階はラムラの新業態「キッチン ギャラリー」。いずれも、オペレーション力と業態開発力を活かした展開で地力をつけてきた“ニューチェーン”勢である。業績も安定しており、アトレ側からすれば、本音はもう少し旬の企業を誘致したかったのだろうが、“安全運転”を優先したかに見える。「秋葉原アトレ」で躓いた「シェフズV」の教訓が効いているのかもしれない。結果として秋葉原を超える魅力はない。五反田エリアの今後のポテンシャルを考えれば、もう少し“未来志向”のリーシングを期待したかった。
一方、「remy」のほうはどうか。東急電鉄が“初の女性ターゲットブランド”として打ち出す商業施設だ。ダイニングゾーンは最上階8階。情報では、ダイヤモンドダイニングのイタリアン業態、サムカワフードプランニングの鉄板業態「TEPPAN 200℃」、渡邉明イートウォークの「やさい家めい」などの名前が挙がっている。ダイヤモンドダイニングはたまプラーザの「BRASSERIE EMBRASSER」で東急との縁ができた。サムカワはスペインバルでアトレ出店を狙っていて果たせなかった“駅ビル進出”への執念が実った。渡邉明ブランドは新丸ビル、六本木ヒルズと続く最近の“モテモテブランド”である。アトレに比べたら銘柄選定のセンスはいいかもしれない。
さて、五反田駅ビル開発をめぐるこの“女性客争奪戦”、肝心の女性客は果たしてどんな反応を示すのだろうか。ベタな街のイメージを変えることは果たしてできるか? いずれにしても、少しずつ変わり始めていた五反田が、さらに変貌をとげるきっかけにはなるだろう。駅周辺の街場がどう変化していくかということも注目され、今後の出店立地候補として検討してみる価値があるかもしれない。目黒と大崎が“聖”とすれば、ここはそれに挟まれた“俗”であり、飲食の街としての磁力はあるのだから…。
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【筆者プロフィール】
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。






