編集長のつぶやき

【VOICE FROM EDITOR】2007-11-29

2008年は「店格の時代」!?

2008年は「店格の時代」!?

いよいよ師走の声が聞こえる。この時期になると、メディアはこぞって「2007年重大事件」とか、「2008年の予測」などといった記事や特集が飛び交うことになる。

私のところにも、飲食トレンドの総括と予測について原稿依頼やら講演依頼が来始めた。皮切りは11月27日に開催されたTenpos情報館&NECインフロンティア主催による飲食店経営者向け「第1回 価値あるセミナー」での基調講演。題して「2007年飲食トレンドと2008年のトレンド予測」。総括はできるが、予測は難しい。しかし、フードスタジアムのヘッドライン記事(特にオープン記事)を検索キーワードで拾っていくと、“トレンド”が浮かび上がってくる。それをもとに、今後の潮流を“読む”ことはできる。

2007年の出来事、トレンドをベストテン式にまとめてみた。
(1)東京ミッドタウン、新丸ビル、マロニエゲート、有楽町イトシアなど大型商業施設オープン!
(2)「美食健康」テーマのレストランのブーム
ヘルス&ビューティをテーマとする店が急増
(3)「新・郷土料理」ブームの拡大
(4)「立ち飲み」「スペインバル」の増殖と進化
(5)「もつ鍋」「水炊き」「鉄板鍋」「ちりとり鍋」など鍋ブームの定着と広がり
(6)「魚屋系居酒屋」「炉端焼き」にみる“魚系”の広がり
(7)「会員制レストラン」と高級隠れ家レストランの急増
(8)「鉄板料理」「蒸し料理」など、“素材を活かす”新業態
(9)『ミシュランガイド東京』発売の波紋と影響
(10)食品、食材偽装問題の波紋と影響
これらは、2008年のトレンドにも大きな影響を与えるに違いない。私はその中から、“5つ”重要キーワードを抽出した。「美食健康」「利便単品」「専門専科」「地産東消」「食格品格」である。そして、2008年のトレンドをリードするテーマタイトルとして「店格の時代」を提唱した。

「店格」とは何か。藤原正彦の著書『国家の品格』がベストセラーになったように、人々は国や会社に“品格”を求めている。食品偽装問題に端を発した食の安全・安心・本物志向は、飲食店の“品格”=“店格”を求める志向を生み出すだろう。『ミシュランガイド東京』の発売は、“格付け”という観点から、さらに“店格志向”を後押しする大きな要因になる。オーナーにも、店長にも、料理長にも品格が問われる。2008年は「店格の時代」が到来する!本物、本気、正直、そしてそこにしかない個性、オリジナリティ。それが他店と差別化するベーシックポリシーだ。品格とは高価で行儀がいいことではない。チープな店にもスタッフの本気度が感じられれば品が出る。ベストセラーの仕掛け人、幻冬舎の見城徹社長の一言に感動した。「私たち編集者は作品を生み出す作家という本物を相手にする偽者。いい作品を書く作家はどこかいびつで異常な人たち。その人たちと本気で向き合うのが編集者の役割だ」。私も最近思う。いい店をつくるオーナーたちはどこかいびつで異常な人たちばかり…。私の役割はそんな経営者たちを発掘し、本気で付き合うことなのだろう。

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【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。
日本で初めて「レストランビジネス・ジャーナリズム」分野の開拓を目指す傍ら、レストランビジネス・プロデューサーとして「レストラントレンド」をテーマに講演・執筆を重ねている。日本ショッピングセンター協会発行の『SC JAPAN TODAY』4月号より「食のマーケット&トレンド」を連載開始。
2007年5月、有限会社カシェットから「フードスタジアム」を分社独立、渋谷区代々木にフードスタジアム株式会社を設立。業界トップのWEBニュースとして、現在月間PV600,000を超える東京レレストラン&グルメニュース「フードスタジアム」の拡大、全国展開に乗り出す。『ARIgATT』の復刊も模索中。

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【VOICE FROM EDITOR】2007-11-22

「九州・博多」飲食業界の“熱い夜”

「九州・博多」飲食業界の“熱い夜”

20〜21日、博多で“二日連チャン”の飲食業界大集合のイベントが開催された。冬の訪れを告げる寒風が吹き始めた中州の夜は、地元×東京勢の飲食店経営者たちの熱気で燃え上がった。

20日の夜は、博多エリア39社の飲食店経営者が集まる“九州・博多のこだわり飲食店の会”「I c ∞会(イコー会)」の忘年会に顔を出した。「I c ∞」とは「I Challenge ∞(アイチャレンジ無限大」の略で、経営者同士の交流を通して情報交換しながらお互いのスキルアップを目指していこうという主旨。まとめ役は東京・渋谷に水炊き餃子「あ・うんの博多ぬくぬく家」を出店している有限会社アーバンの別府治幸社長。

この日の忘年会に合わせ、各社の店舗の「忘年会・新年会特集」が組まれたフリーペーパー「いこう・冬号」も創刊、刷り上ったばかりの雑誌が配布されて会は盛り上がりを見せた。集客はもちろん、サービス向上、スタッフ採用・研修から飲酒運転対策まで、経営者同士で考え、全員で飲食業界のレベル向上と存在価値を上げていく。会員の中から、東京進出を果たす経営者もたくさん出てくるに違いない。

21日は、フードリンクセミナーと、業界のキーマン・小秋元慶氏三井物産フードサービス部HBIリンク・ワンTRNが主催する「第6回コミュニケーションプラザ」の共催による「外食サミット」を開催された。東京、名古屋、大阪からも外食経営者が参加、野田豊加氏のプラン・ドゥ・シー経営「WITH THE STYLE」の会場は、地元・九州の経営者を含め約120名の熱気に包まれた。業者は一部の協賛会社を除きシャットアウト。ミュープランニング&オペレーターズ・吉本隆彦社長がミシュランガイドが追い風になる和食、日本食専門店の海外進出戦略について講演、イートアンド・文野直樹社長が中国進出の苦労話を披露した。

そしてメインイベントは、あうんグループ・アーバン別府治幸社長、「野の葡萄」のグラノ24K・小役丸秀一社長の地元勢と、エイチワイシステム・安田久社長カフェ・カンパニー・楠本修二郎社長ゼットン・稲本健一社長、パリから帰ったばかりのダイヤモンドダイニング・松村厚久社長の東京勢によるパネルディスカッション。毎度おなじみのメンバーだが、環境の厳しい地元参加者と一種の外食バブルの恩恵をこうむっている東京勢の“温度差”が垣間見えた。共通の悩みはやはり人材の確保、教育。「人をいかに育て、業界をレベルアップさせるか」に行き着いた。

2次会、3次会をリードしたのは、元気印の星が三つ付くゼットン・稲本健一(イナケン)さん。九州エリア最大の酒販店・株式会社オーリックのアテンドで流れた中州の店は、20名近くの東京外食ベンチャー経営者の“業界ミーティング”の場と化した。19日から私と「九州・食材探しの旅」に同行した“マネーの虎”エイチワイシステムの安田久氏さんは、さすがに三日目になるこの夜ばかりは“虎の威”をなくしていた。この4日間、博多で飲食業界の行く末を考えたが、結論は出なかった。

【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。
日本で初めて「レストランビジネス・ジャーナリズム」分野の開拓を目指す傍ら、レストランビジネス・プロデューサーとして「レストラントレンド」をテーマに講演・執筆を重ねている。日本ショッピングセンター協会発行の『SC JAPAN TODAY』4月号より「食のマーケット&トレンド」を連載開始。
2007年5月、有限会社カシェットから「フードスタジアム」を分社独立、渋谷区代々木にフードスタジアム株式会社を設立。業界トップのWEBニュースとして、現在月間PV600,000を超える東京レレストラン&グルメニュース「フードスタジアム」の拡大、全国展開に乗り出す。『ARIgATT』の復刊も模索中。

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【VOICE FROM EDITOR】2007-11-15

飲食業界に“赤船”襲来!

飲食業界に“赤船”襲来!

日本の近代は明治維新のきっかけとなった“黒船襲来”から始まったが、飲食業界に“赤船”すなわち赤い表紙の『ミシュランガイド東京』が襲来する。その衝撃とは…

アジア初、世界で22番目となる『ミシュランガイド東京』が11月22日、ついに発売されることになった。飲食業界では、その赤い表紙から“赤船襲来”と騒いでいる。11月19日15:00、東京国際フォーラムで記者会見があり、そこで“星”のつくレストラン名が発表される。その後、プレスパーティーが行なわれるが、日本中のメディアの取材が殺到し、会場は大混乱が予想されている。パーティー会場には、“星”を獲得したレストランのオーナーたちが招待されるというから、来週のメディアと飲食業界はまさに“ミシュラン・ウィーク”となるだろう。

「どこに星が」という予測は、すでに多くのメディアが報じているが、おおかたの見方では“フランス寄り”の視点の偏りが出るに違いないと言われている。東京レストランマーケットでは、いまフレンチ、とくに星を求めるような店は、一部の富裕層やグルメを除き、敬遠されている。むしろ、星とは無縁のビストロや軽いフレンチスタイルがトレンドである。その意味では、今回の『ミシュランガイド東京』がもたらす最大の効果は「東京フランス料理界」の再生を促す呼び水と言えるかもしれない。一時的にせよ、フランス料理界は活気付き、集客に悩む客単価の高いフレンチレストランは元気を取り戻すだろう。

とは言え、“星”が付かなくても、ミシュランガイドに掲載されるだけで人気店の仲間入りになるのが、これまでの各国での通例。『ザガットサーベイ』とは及びもつかなほど影響力があることは確かだ。私は個人的には“星”よりも、フォークとスプーンのマークで五段階評価される「施設の外観や内装、手入れの行き届いた店内か、サービス、雰囲気など快適さ」の基準、そして新しい価値として登場したキャラクター“ビブ・グルマン”の「コストパフォーマンスの高い、快適な店」にどこが選ばれるか、である。そして、かつて“恨ミシュラン”があったように、“選ばれなかった店”のルサンチマンがどんな形で出てくるかといこと。すでに、業界随一の辛口ブログ「TOMOSATO-BLOG」では激しい問題提起が繰り広げられている。“赤船”は文字通り“赤い血”を呼ぶ衝撃を業界に及ぼすのだろうか。飲食業界が“嫉妬と怨嗟の海”に染まることを怖れるのである。

【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。
日本で初めて「レストランビジネス・ジャーナリズム」分野の開拓を目指す傍ら、レストランビジネス・プロデューサーとして「レストラントレンド」をテーマに講演・執筆を重ねている。日本ショッピングセンター協会発行の『SC JAPAN TODAY』4月号より「食のマーケット&トレンド」を連載開始。
2007年5月、有限会社カシェットから「フードスタジアム」を分社独立、渋谷区代々木にフードスタジアム株式会社を設立。業界トップのWEBニュースとして、現在月間PV600,000を超える東京レレストラン&グルメニュース「フードスタジアム」の拡大、全国展開に乗り出す。『ARIgATT』の復刊も模索中。

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【VOICE FROM EDITOR】2007-11-08

丸の内VS八重洲“OL争奪戦”の行方

丸の内VS八重洲“OL争奪戦”の行方

11月6日に鳴り物入りでオープンした大丸東京新店。“老百貨店連合”松坂屋と経営統合した新生J.フロントリテイリング初の大型プロジェクトだけあって、業界の注目を集めている。

驚かされたのは、新宿伊勢丹もびっくりの大丸東京新店1階に出現したスイーツ売り場。パリ発海外初出店となる「ボワシエ」はじめ、内外から50ブランドが出店した。これには丸の内OLも敏感で、オープン初日の夕刻には丸の内側から八重洲側に“OL大移動”が起きたという。12〜13階のレストラン街も賑わった。テナントの顔ぶれについてはあまりコメントすることはない(丸の内P.C.Mの系列として期待していたB,C.Tにもがっかり)が、13階のXEX TOKYOの夜景は面白い。東京駅を挟んで丸の内の高層ビル群が見渡せる。言ってみれば“丸の内VS八重洲”の空中戦が展開されているのだ。

しかし、本当の戦いは地下で展開されることになろう。大丸が入った「GranTokyo North Tower(ノースタワー)」と「GranTokyo South Tower(サウスタワー)」とつなぐのは、2013年春にできる地上の店舗・歩行者デッキ「グランルーフ」までは地下しかない。丸の内に本当に対抗できるのは、この地下の回遊性を高められてこそである。その点、サウスタワーにわざわざ行く動機付けとしては今回のサウスタワー地下「GranAge(グランアージュ)」のテナントが弱い。隣のPCPビルの既存店(旧アージュ)と合わせて新商業施設と打ち出したものの、パンチ力不足は否めない。運営は鉄道会館。エキナカでは「キッチンストリート」「黒塀横丁」をヒットさせ、10月25日には「GranSta」をオープンさせ話題を呼んだ。その勢いがここまでは及んでこない。

そうなると、今後八重洲を引っ張るパワーはノースタワーとサウスタワーを地下でつなぐ八重洲地下街が担うことになる。この地下街を運営するのは大丸とヤンマーの共同出資会社の株式会社八重洲地下街。これまでも深く静かにテナントの入れ替えなど、高感度消費者ターゲットのレストラン誘致を行なってきたが、今後思い切った環境デザインの変更などを行なってほしいものだ。八重洲地下街が変われば、八重洲周辺の街場も盛り上がることになる。地上での“丸の内VS八重洲戦争”の“漁夫の利”をテコに、八重洲地下街の大胆な開発を期待したい。

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【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。
日本で初めて「レストランビジネス・ジャーナリズム」分野の開拓を目指す傍ら、レストランビジネス・プロデューサーとして「レストラントレンド」をテーマに講演・執筆を重ねている。日本ショッピングセンター協会発行の『SC JAPAN TODAY』4月号より「食のマーケット&トレンド」を連載開始。
2007年5月、有限会社カシェットから「フードスタジアム」を分社独立、渋谷区代々木にフードスタジアム株式会社を設立。業界トップのWEBニュースとして、現在月間PV600,000を超える東京レレストラン&グルメニュース「フードスタジアム」の拡大、全国展開に乗り出す。『ARIgATT』の復刊も模索中。

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【VOICE FROM EDITOR】2007-11-01

地方を元気にする“虎”と三頭の“駿馬”

地方を元気にする“虎”と三頭の“駿馬”

東京と地方の“外食格差”が問題視されているが、「食ビジネス」が地方活性化の起爆剤になる可能性は高い。東京と地方には時間と空間、温度のズレ、蜃気楼のような屈折現象があるが、それこそがビジネスチャンスではないか。

“47都道府県47ブランド”の飲食店を銀座中心に出店するという地方活性化路線をひた走る“マネーの虎”安田久エイチワイシステム社長の“食材探しの旅”にまた随行取材してきた。9月の札幌に続く2回目で、今回は愛媛県松山市。安田さんが12月上旬に銀座5丁目にオープンを予定している150坪の大箱で出す蟹料理の試食、視察が目的だった。松山市内の目抜き通りで4層300坪250席の「かに料理 蟹翔」(株式会社蟹王、代表取締役・白石雄三氏)から蟹料理に関するノウハウを得るのが安田さんの狙い。白石さんは地元出身、札幌大学でロシア語を学んだ縁から蟹に目覚め、根室の光洋水産で卸業のノウハウを得て帰郷、自宅のガレージ4坪から会社を起こした人物だ。

安田さんは白石さんの懐に飛び込み蟹の知識をどんどん吸収していく。白石さんは惜しげもなく安田さんにあらゆるノウハウを教える。蟹料理はそう簡単ではない。活蟹の仕入れルートは限定されているし、相場変動も激しい。安田さんの新店は甲殻類に特化した北海道料理だが、その中で活蟹を売りにするためにどうすべきか、それが課題。仕込みや調理オペレーションもイチから組み立てなければならない。さらに、安田さんは松山の地場の名店、食材、ご当地料理についても情報収集を怠らない。

「愛媛料理店は東京で成り立つか」「四国4県の料理をワンフロアで出すのはどうか」など仮説やアイデアが次から次に出てくる。郷土料理と言っても、安田さんは地方の名店をそのまま持ってくること、食材をメニューに落とし込むことだけには満足しない。「地方の素材、コンテンツに東京の温度をプラスし、とりわけ銀座のマーケット、ワンクラス上のリピート客を取り込まなければヒットはない」と言い切る。そのためには、地方に何度も足を運んで、その土地の人脈を駆使して文化・風俗、空気感まで東京にもってくる。それが“安田マジック”なのだろう。東京と地方の温度差を埋める作業、それが彼のビジネスの本質かもしれない。その地方を直接見て周り、彼の目指す地方活性化でその地方を盛り上げ、日本全体を元気にしていく仕掛け人として今後の“虎”の活躍に期待したい。

先週末には首都圏ローカルのロードサイド店を猛烈なスピードで展開するエムグランドフードサービス井戸実社長プロデュースの「ステーキハンバーグ&窯焼ピッツァますもと 町田店」を取材した。出迎えてくれたのは井戸さんはじめ、この店の経営者・株式会社サンクスプラス代表取締役の桝本幸典さん、それにこの店のピッツァ料理を担当した株式会社TOP VLAZZ代表取締役の附田国造さん。この三人は井戸さんを中心に集まったまだ30歳前後の若手トリオ。この店も三人の共同出資である。ビジネスモデルは井戸さんが開発した手法で、既存のチェーン店が退店した店をサブリース、出店資金サポートを利用することによって超低投資でリニューアル、業態転換によって再生するというもの。井戸さんは「ステーキ・ハンバーグ&サラダバー けん」などをその手法で急展開した。「最初の数店舗の回収の目処が立った時点で直営展開に切り替え、直営でノウハウが固まればFCで一気に展開する」のが井戸流。

ファミリーレストラン、焼肉チェーン、回転寿司チェーンなど、ロードサイドのチェーン店はいま整理淘汰が進んでいる。「これまでのチェーンストア理論はもう役割を終えました。これからは低投資、高原価率で顧客満足を目指す我々ニューチェーンの時代です」と井戸さん。すかいらーくなどの外食第一世代、ベンチャーリンクが展開してきた外食第二世代、それに続く“外食第三世代”の到来というわけである。確かにチェーンストア理論に支えられていたパッケージの大量出店型のプロダクトアウト型手法はもう通用しない。マーケットインのベンチャーリンク型手法も強引なFC押し付け販売によって破綻した。今後はそれを“止揚”したプロダクトイン型(供給側が商品の有利性を武器に独自のマーケットを創っていく)のビジネスモデルが台頭してくることは事実だろう。その波に“三人の駿馬”が乗れるかどうか。これもロードサイドの蜃気楼にあえてビジネスを挑むチャレンジである。

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