編集長のつぶやき

【VOICE FROM EDITOR】2006-04-27

「東西格差」は縮まるか?

「東西格差」は縮まるか?

飲食トレンドを追いかけていると、だいたい8対2の比率で東京のWESTエリアに足を運ぶ感じだったが、最近なぜか「EAST」に出向くことが多くなった。

4月20日に錦糸町の北エリア(墨田区太平)に出現した商業施設「オリナス」。これまでの場外馬券売場のある下町歓楽街というイメージを一新するスポットになっていた。これは確実に丸井を中心とした南エリアからの消費人口の移動を促すに違いない。錦糸町は隣の亀戸とともに「東京7大副都心構想(新宿、池袋、渋谷、大崎、上野・浅草、錦糸町・亀戸、臨海部)」の一つ。さらに北には押上エリアがあり、ここも急速に開発が進んでいる。

さらに、東京・浅草の浅草寺からほど近い下町の一角に、東武鉄道が中心になって「新東京タワー」を建てることが決まった。高さは世界一の610m、完成は2011年である。5月1日には「新東京タワー株式会社」がスタート、墨田区にも推進課が新設される。ここから地上デジタル波を関東一円に送ることになる。いまなぜか「東京タワー」がブームだが、人情の残っている下町エリアだけに「新東京タワー物語」が生まれてきてもおかしくない。

団塊ジュニアたちがニューファミリーの城を持つ場所として、ますます「東京EAST」に人口はシフトしてくるだろう。中央区の人口が10万人を超え、豊洲や有明は「東の二子玉化」が急速に進んでいる。錦糸町「オリナス」からの帰り、秋葉原「AKIBA_ICHI」に立ち寄ったら、巨大IHキッチンスタジアム型レストラン「東京フードシアター」のGMがどこかで見た人物。なんと一世を風靡した元「カーディナス」の片山峻徳さんではないか。西から東へ「飲食人」の移動も起きつつあるのだろうか。

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【VOICE FROM EDITOR】2006-04-20

「サービス」という価値がビジネスになるとき

「サービス」という価値がビジネスになるとき

レストラン「サービス」をテーマにしたイベント、それに便乗したビジネスが大流行である。個店が切磋琢磨し、接客担当の個人が優れたパフォーマンスを競い合うのはいいことである。しかし、その集団熱狂はどこまで加熱するのだろうか。サービスはあくまで「客のため」であってほしい。

昨日の19日は「F1グランプリ」ならぬ「S1サーバ・グランプリ2006」が開催された。主催は「繁盛店への道」という飲食店サポート企業幹部の集団。審査委員長にヒュージ社長の新川義弘氏、審査委員にてっぺん社長の大嶋啓介氏ほか。志の高さは理解できたが、レストランサービスという標準化の難しい技術を審査し、それをオリンピック競技よろしく点数をつけて表彰するというのも凄いといえば凄いことだ。

3月には、やはりてっぺんの大嶋啓介氏が立ち上げたNPO法人の「居酒屋甲子園」が日比谷公会堂で第1回「2006居酒屋甲子園」を開催、2000人の観客を集めた。こちらは全国から覆面調査を経て勝ち上がってきた居酒屋が「お店ごと」のサービスパフォーマンスをプレゼンするというもの。2007年の第2回には2000店8000人を集めるという計画を早くも打ち出している。

さらに真打登場である。日本LCAは2007年2月下旬、「飲食クオリティサービス大賞」を開催すると打ち出した。こちらは理論的で、「クオリティサービスとは細部にこだわり、継続的に恒常的に顧客感動満足を追求しつづけること」。個店や個人ではなく、企業全体で「業務プロセス」「仕組み・ノウハウ」「改善ノウハウ」などを評価するとしている。日本LCAは居酒屋甲子園の覆面調査を担当している。この「飲食クオリティサービス大賞」でもやはり同じ覆面調査隊が動くのか。

いずれにしても、レストランにおける「サービス」というものの価値を評価するモノサシをつくるべき時期にきているのは間違いない。国の動きはどうなのか。経済産業省サービス産業課が4月に初めて、レストランやホテルの「サービスのノウハウ育成ビジネス」について助成金を交付することになった。「サービス」には特許はもちろん知的財産権もない。それを「暗黙知」と言うのだそうだが、やっとそれが陽の目を見始めたということか。

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【VOICE FROM EDITOR】2006-04-13

“スペインバル・パワー”街道を往く

“スペインバル・パワー”街道を往く

千葉の某駅前でビストロバルをプロデュースすることになって、設計デザイナーとメニュー開発担当者を引き連れて、都内繁盛店ツアーを試みた。しばらく足の故障で出歩けなかったから、久々の飲食店行脚である。それにしても「バルパワー恐るべし」だ。いまや「立ち飲み」というヒットコンセプトを飲み込んでさらにパワーアップした感がある。

まずは事務所のある築地から歩いていける八丁堀「MARU(まる)」。時計は18時を回ったばかり。1階のスタンディングはまだ空きスペースがあったが、2階はすでに満員。入り口でフリーの客をひっきりなしに断っていた。「MARU初体験」のデザイナー氏曰く、「別世界ですね」。たしかにここは毎晩、地球の裏側にワープして、ラテンの世界に変わるのだ。オーナーの松澤氏によると、「3階をいま工事しています。近くオープンしますよ」。今度は鉄板系らしい。

次に向かったのは、銀座2丁目の「Catalan Bar Vinuls(カタランバー バニュルス)」。オザミ・デ・ヴァン、丸山氏の作品である。八丁堀から銀座1丁目へ昭和通りを渡る手前、1年前ぐらいにオープンしたイタリアンバルをついでにチェック。「EL CERDO」(TEL 03-3567-2766 )である。こんな厳しい立地で立ち飲みはないだろうと思っていたのだが、シェフが変わって大ブレーク。いまや予約がないと入れない状況で、土日も強気営業中。コンセプトも「イベリコ豚と築地タパス」に変わっていた。「蛤のパエリア」なんてメニューが気になった。

バニュルスは予想通り、超満席。誰が見てもは入れないのに、次から次に客がやってきてはUターン。店長氏が隙を見て我々のところに駆け寄ってきた。「ワールドカップを見にドイツに行くので、この店もそろそろ上がります」。このノリもラテンらしい。次は「BAR de ESPANA Pero(ぺロ)」。グラナダの下山氏が一番やりたかった業態だけあって、ハコが勝っていないところがいい。この店も3階まで客であふれていた。いったいこの「スペインバル・パワー」はいつまで続くのか。恵比寿も検証しなければならない。

恵比寿銀座通りから「18番(おはこ)」まで行く途中に、あの美味しいやさしい土火土火グループの「分土火」「ビストロ・ダルブル」がこのあたりのラブホテルの前に出来たときいたので先にチェック。なんとコンクリート打ちっ放しの2階建てビル。自社で建てたという。西麻布「坊 其の壱」みたい。大きな木の扉をくぐると中央に吹き抜けのパティオ。その右側にスタンディングバーがあった。オール500円。ここでドリンクのみならず、ヘルシーデリシャスなビストロ料理がテイスティングできる仕掛け。カウンターに色鉛筆が置いてあり、自由に絵を描いていいという。こんな遊びも何か新鮮ではないか。これなら「18番」「buri」並みに話題になるに違いない。

「18番」は相変わらず超満員。若い女性客が増えたのはオーナーの松下氏の狙い通りか。18番の近くに新店発見。表参道出店で気を吐く渡邉氏の鉄板ビストロ「MANGIN(まんぎん)」が3店舗目をうどんの「一滴八銭屋」の1階に出していた。最後は「buri」で〆。突然、電灯が消えたと思ったらスタッフがケーキをもって客席に。バースデイサービスだ。初めて目撃したが、立ち飲みでこの演出は他にはないだろう。

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【VOICE FROM EDITOR】2006-04-06

スクラップ&ビルドから攻勢に

スクラップ&ビルドから攻勢に

かつて元気の良かった飲食店経営者たちから、最近同じような話を聞く機会が多い。「ここ2年ぐらいは臥薪嘗胆でした。4、5年前から商業施設を含めた出店攻勢をかけたものの、その反動で不採算店が増え苦しみました。ようやくスクラップ&ビルドが終わり、赤字の店がなくなったところです。これから攻勢に出ますよ」。レストランバブルの危機を早期に察知した会社がいま、甦りつつある……。

2002年の六本木ヒルズ、丸ビルから始まったレストラン供給過剰は、街場の店を巻き込んで「レストランバブル」「デザイナーバブル」を生み出した。その波に乗って出店攻勢をかけたレストラングループは総じてその投資負担が経営を圧迫、ソーホーズ破綻にみられるような事態を招くことになった。そこにITマネー、不動産ファンドマネーが登場、救世主として、経営危機に陥ったいくつかのレストラングループを救済した。しかし救われた企業は、IPOという十字架を背負うことになるのだが…。

そうしたブームにあおられて、店舗を拡大してしまったグループの中には、いち早く危機を察知し、スクラップ&ビルドという名のリストラ策に取り組むところも少なくなかった。立地の失敗による店舗閉鎖、転売、、業態転換etc…。そうした企業が、いまトンネルを脱出し、「攻め」に転じ始めたようだ。かつて、危機を乗り切る方法の選択肢として、「オペレーションか業態か」という議論があった。インタビューしたWDIの清水社長やワンダーテーブルの林社長は迷わず、「いまはオペレーション。業態は追わない」と断言した。2004年後半のことだ。

さて、スクラップが終わり、ビルドの構築に入ったグループが次に目指すのは何だろうか?この数年の混乱期にも勝ち組はあった。マルチブランド戦略を掲げた会社、オーガニックバイキング、テーマレストラン、ブランド食材を極めた専門店…。2006年の後半は「攻め」の主役たちが変わるかもしれない。最後の利権の要塞になる六本木ミッドタウンも新丸ビルもまた、レストランバブルを演出した反省なき強者が独占しないことを祈るばかりだ。

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