編集長のつぶやき

【VOICE FROM EDITOR】2008-08-28

商業施設“秋の陣”始まる!

商業施設“秋の陣”始まる!

もう9月がそこまで来た。毎年、この時期は、商業施設出店戦争“秋の陣”が始まる。今年は、大きな開発はないが、新築商業ビルの“局地戦”が展開される。

大きいといえば、三菱地所が10月9日に開業する東京メトロ東西線・南砂町の「SUNAMO」は巨大。7つの大型店と100の専門店が一同に集積するという。しかし、都心の飲食地図に大きな影響を与えることはあるまい。三井不動産の「入間アウトレット」誕生のような一時的な話題にはなるだろうが。

さて、今年の商業施設“秋の陣”の狼煙は横浜から上がる。9月3日、「横浜モアーズ」のリニューアルが完成。8月22日に先行オープンした8階「the DINING(ザ・ダイニング)」に続き、いよいよ9月3日、9階のレストラン街「MOST」がオープンする。稲本健一氏がプロデュース、神谷利徳氏が環境デザインを担当し、ゼットン、ダイヤモンドダイニング、ジェイプロジェクトの“第二世代”勢揃いするとあって、業界では早くも話題になっている。ルニューアル前、9階は大和実業グループが占拠していただけに、まさに“世代交代フロア”といっていい。若手による“再生”の手腕が試される。9月1日、フロアレセプションがあり、“業界人、横浜集合!”となりそうだ。

恵比寿も動いている。今年前半の話題は何といっても「恵比寿横丁」の誕生だった。おしゃれエリアで敢えてベタコテ、超アナログ開発をやったわけだが、これが大成功。連日、活況を呈している。その恵比寿駅の西口改札を右に出てすぐのところに、東急不動産が建てていた駅前ビルが完成、いよいよテナントオープンを迎える。施設名は「EBISU Q PLAZA」に決まった。1〜2階はもともとあったアウトドア総合ブランド「Montbell」。3〜5階には、東急不動産グループ直営のフィットネスクラブ「東急スポーツオアシス」が入る(なぜ、こんな一等立地にフィットネスクラブなんだろう?)。

飲食は地下1階と6階の2層。これが160坪を超える大箱。そこに挑戦するのは、地下で恵比寿ドミナントの焼鳥「ももたろう」「SACRA」「LUXES」などを展開するのジャパンチキンフードサービスが300席の「MEDUSA」、6階には関西新興勢力きちりの「KICHIRI」が恵比寿初上陸。「MEDUSA」は9月11日オープン、「KICHIRI」は通算50店舗目、9月15日オープン予定である。それにしても、160坪ものフロアを客で埋め尽くすことは、この恵比寿で可能なのだろうか?私が開発担当ならば、「恵比寿横丁」のような小規模飲食の集積をビルの中につくりたい。1店舗5〜10坪の“ビルイン横丁”こそが、恵比寿駅前という立地に相応しいのではないか。ディベロッパーの安易なリーシングが街をつまらなくする。

そして、銀座では“7・8戦争”が展開される。中央通り7丁目、8丁目で新築ビル、新店オープンが相次ぐのだ。まずは、9月13日にオープンする「GINZA g CUBE」。7〜12階に8店舗が入る。三井不動産の開発だが、最初は地方ブームに乗って地方初の“郷土料理専門店”でまとめたかったらしいのだが、結局、郷土料理らしいのは10階の「郷土・松江の味 銀座皆美」と11階の「隠(おん)」ぐらい。あとは、柿安、大庄の「ととや市場」、台湾火鍋など。施設的にも、表に向いた「H&M」が目立ち、飲食店が裏通りからしか入れない。やはり、三井不動産もブランドの“奢り病”に陥っているのだろうか。ベルビア館の二の舞にならなければいいが。

銀座8丁目には「888(スリーエイト)」ビルがオープン。こちらは、住宅専門の仲介会社がリーシングを担当したためか、オープンの足並みが揃わない。先行して開店したのが、地下の新宿からやってきた「銀座 矢部」とイタリアン「RICETTA LIETO」、7階「のど黒屋」。近く、豪華カラオケラウンジも入るらしいが、当初「瀬里奈」の出店も噂されていただけに、インパクトに欠ける。8丁目では、もう一つ「JEWEL BOX GINZA」ビルの9階に中国料理「飛雁閣 」が3丁目から拡張移転、10階に蒙古火鍋しゃぶしゃぶ「小尾羊」が9月1日同時オープンする。竹中工務店の開発、野村ビルマネジメントが運営を担当しているが、テナントからは「施設側からの何のサポートもない」という不満の声が聞こえる。いまのところ、“7・8丁目戦争”は不協和音が目立つが、このエリアの活性化のために、ディベローパーが集まって、「街を活性化するにはどうすべきか」を考えるべきだろう。

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【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。
日本で初めて「レストランビジネス・ジャーナリズム」分野の開拓を目指す傍ら、レストランビジネス・プロデューサーとして「レストラントレンド」をテーマに講演・執筆を重ねている。日本ショッピングセンター協会発行の『SC JAPAN TODAY』4月号より「食のマーケット&トレンド」を連載開始。
2007年5月、有限会社カシェットから「フードスタジアム」を分社独立、渋谷区代々木にフードスタジアム株式会社を設立。業界トップのWEBニュースとして、現在月間PV600,000を超える東京レレストラン&グルメニュース「フードスタジアム」の拡大、全国展開に乗り出す。『ARIgATT』の復刊も模索中。
佐藤こうぞうブログ「つぶやき編集長の『毒にも薬にも…』」も開始。“裏つぶやき”として話題に。

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