編集長のつぶやき

【VOICE FROM EDITOR】2008-02-07

東急VSJRの“五反田駅ビル戦争”勃発へ

東急VSJRの“五反田駅ビル戦争”勃発へ

1月はJR浜松町周辺に二つの新しい商業施設が誕生して話題を呼んだが、3月から4月にかけて今度は五反田駅周辺が熱くなりそうだ。

3月14日にはJR東日本グループ・東京圏駅ビル開発の「アトレヴィ五反田」、4月には東急電鉄の「remy gotanda」という“駅ビル型”商業施設が相前後してオープンするからだ。五反田といえば、駅前よりも少し街中に入った界隈に飲食店が集中している。それも、どちらかといえば新橋のようにサラリーマン男性相手の店が多く、風俗街があることから、これまで女性客には敬遠されがちだった。それでも、少しずつ「お洒落系」「ガストロ系」が増え、“ミニ恵比寿”的な香りも漂い始めてはいた。

そんな五反田に、JRと東急電鉄は“20代、30代の女性”中心のターゲットのテナントを集めた商業施設をもってくる。まず先行してオープンする「アトレヴィ五反田」は2階にカフェカンパニーが「ワイアード カフェ」が登場。昨年7月に「上野アトレ」に出たから、“アトレ族”のターゲットがカフェカンのコンセプトに合致するとアトレ側が考えているのだろう。上野アトレでは「buri」「バニュルス」もアトレ側の希望で出店したというから、かなりデベ主導でMDが決まっているようだ。

3階以上は3階が式会社サンケイ会館が鮮魚・郷土料理の「瀬戸内」。4階はジェイプロジェクトの「芋蔵」。5階はラムラの新業態「キッチン ギャラリー」。いずれも、オペレーション力と業態開発力を活かした展開で地力をつけてきた“ニューチェーン”勢である。業績も安定しており、アトレ側からすれば、本音はもう少し旬の企業を誘致したかったのだろうが、“安全運転”を優先したかに見える。「秋葉原アトレ」で躓いた「シェフズV」の教訓が効いているのかもしれない。結果として秋葉原を超える魅力はない。五反田エリアの今後のポテンシャルを考えれば、もう少し“未来志向”のリーシングを期待したかった。

一方、「remy」のほうはどうか。東急電鉄が“初の女性ターゲットブランド”として打ち出す商業施設だ。ダイニングゾーンは最上階8階。情報では、ダイヤモンドダイニングのイタリアン業態、サムカワフードプランニングの鉄板業態「TEPPAN 200℃」、渡邉明イートウォークの「やさい家めい」などの名前が挙がっている。ダイヤモンドダイニングはたまプラーザの「BRASSERIE EMBRASSER」で東急との縁ができた。サムカワはスペインバルでアトレ出店を狙っていて果たせなかった“駅ビル進出”への執念が実った。渡邉明ブランドは新丸ビル、六本木ヒルズと続く最近の“モテモテブランド”である。アトレに比べたら銘柄選定のセンスはいいかもしれない。
 
さて、五反田駅ビル開発をめぐるこの“女性客争奪戦”、肝心の女性客は果たしてどんな反応を示すのだろうか。ベタな街のイメージを変えることは果たしてできるか? いずれにしても、少しずつ変わり始めていた五反田が、さらに変貌をとげるきっかけにはなるだろう。駅周辺の街場がどう変化していくかということも注目され、今後の出店立地候補として検討してみる価値があるかもしれない。目黒と大崎が“聖”とすれば、ここはそれに挟まれた“俗”であり、飲食の街としての磁力はあるのだから…。

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【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。
日本で初めて「レストランビジネス・ジャーナリズム」分野の開拓を目指す傍ら、レストランビジネス・プロデューサーとして「レストラントレンド」をテーマに講演・執筆を重ねている。日本ショッピングセンター協会発行の『SC JAPAN TODAY』4月号より「食のマーケット&トレンド」を連載開始。
2007年5月、有限会社カシェットから「フードスタジアム」を分社独立、渋谷区代々木にフードスタジアム株式会社を設立。業界トップのWEBニュースとして、現在月間PV600,000を超える東京レレストラン&グルメニュース「フードスタジアム」の拡大、全国展開に乗り出す。『ARIgATT』の復刊も模索中。

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