編集長のつぶやき
2008年は「店格の時代」!?

いよいよ師走の声が聞こえる。この時期になると、メディアはこぞって「2007年重大事件」とか、「2008年の予測」などといった記事や特集が飛び交うことになる。
私のところにも、飲食トレンドの総括と予測について原稿依頼やら講演依頼が来始めた。皮切りは11月27日に開催されたTenpos情報館&NECインフロンティア主催による飲食店経営者向け「第1回 価値あるセミナー」での基調講演。題して「2007年飲食トレンドと2008年のトレンド予測」。総括はできるが、予測は難しい。しかし、フードスタジアムのヘッドライン記事(特にオープン記事)を検索キーワードで拾っていくと、“トレンド”が浮かび上がってくる。それをもとに、今後の潮流を“読む”ことはできる。
2007年の出来事、トレンドをベストテン式にまとめてみた。
(1)東京ミッドタウン、新丸ビル、マロニエゲート、有楽町イトシアなど大型商業施設オープン!
(2)「美食健康」テーマのレストランのブーム
ヘルス&ビューティをテーマとする店が急増
(3)「新・郷土料理」ブームの拡大
(4)「立ち飲み」「スペインバル」の増殖と進化
(5)「もつ鍋」「水炊き」「鉄板鍋」「ちりとり鍋」など鍋ブームの定着と広がり
(6)「魚屋系居酒屋」「炉端焼き」にみる“魚系”の広がり
(7)「会員制レストラン」と高級隠れ家レストランの急増
(8)「鉄板料理」「蒸し料理」など、“素材を活かす”新業態
(9)『ミシュランガイド東京』発売の波紋と影響
(10)食品、食材偽装問題の波紋と影響
これらは、2008年のトレンドにも大きな影響を与えるに違いない。私はその中から、“5つ”重要キーワードを抽出した。「美食健康」「利便単品」「専門専科」「地産東消」「食格品格」である。そして、2008年のトレンドをリードするテーマタイトルとして「店格の時代」を提唱した。
「店格」とは何か。藤原正彦の著書『国家の品格』がベストセラーになったように、人々は国や会社に“品格”を求めている。食品偽装問題に端を発した食の安全・安心・本物志向は、飲食店の“品格”=“店格”を求める志向を生み出すだろう。『ミシュランガイド東京』の発売は、“格付け”という観点から、さらに“店格志向”を後押しする大きな要因になる。オーナーにも、店長にも、料理長にも品格が問われる。2008年は「店格の時代」が到来する!本物、本気、正直、そしてそこにしかない個性、オリジナリティ。それが他店と差別化するベーシックポリシーだ。品格とは高価で行儀がいいことではない。チープな店にもスタッフの本気度が感じられれば品が出る。ベストセラーの仕掛け人、幻冬舎の見城徹社長の一言に感動した。「私たち編集者は作品を生み出す作家という本物を相手にする偽者。いい作品を書く作家はどこかいびつで異常な人たち。その人たちと本気で向き合うのが編集者の役割だ」。私も最近思う。いい店をつくるオーナーたちはどこかいびつで異常な人たちばかり…。私の役割はそんな経営者たちを発掘し、本気で付き合うことなのだろう。
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【筆者プロフィール】
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。




