編集長のつぶやき

【VOICE FROM EDITOR】2007-10-25

「霞ダイニング」に秘められたミッション

「霞ダイニング」に秘められたミッション

今日25日にオープンする霞が関・東京倶楽部ビルディング内飲食商業施設「霞ダイニング」に19日、23日と二度足を運んだ。表向き「上層のオフィスと周辺オフィスワーカー向け施設」とは言うが、実は大きな使命を負っている。

「霞ダイニング」のコンセプトは“大人のためのプレミアムダイニング”。「周辺のオフィスワーカーが仕事帰りに軽めのバー利用から、しっかりした食事まで、その時々に応じて充足した時間を過ごせる店舗を誘致した」(三井不動産)としているが、“飲食施設不毛地帯”だった霞が関官庁街に物件をもち、かつて超高層ビルの魁となった霞が関ビルをつくった三井不動産にとっては、このエリアでの都心型商業施設開発は三井の威信にかけて失敗できない。現社長の岩沙弘道氏のただならぬ思い入れがあるプロジェクトだと言われている。霞ダイニングと同時にオープンする「霞が関コモンゲート」、さらに21年春の2期工事、霞が関ビルの低層部リニューアルを視野に入れた大型開発であり、さらに言えば、虎ノ門・神谷町に集中する各国大使館、外資系オフィス街を含む都心の“エスタブリッシュメントタウン”という価値をもった広域エリアの開発につながる。平たく言えば、日本を動かす超エリートが集まる街の開発なのである。

三井の威信にかけてシャビーな施設はつくれない。大きな窓面、テラス、ライトアップ等による華やかさ、賑やかさの演出に相当な投資を注いでいる。「オフィス街の延長で食事したくない」というワーカーのニーズに応え、オフィス空間とは切り離した非日常空間をつくっている。そこに入った飲食9店舗は、確かに個性あふれるテナントである。開放感のある1階には、日本初のステーキハウス「RUTH’S CHRIS STEAK HOUSE(ルースクリスステークハウス)」(トリオ)とベルギービールカフェ「Delirium Cafe Tokyo(デリリウム・カフェ トーキョー)」(メイセイトレーディング)、バブリーな内装の「RUBY CAFE Organic(ルビーカフェオーガニック)」(フェアネスクリエイション)、日本全厳選した日本酒を集めた「SAKE bistro W」(フォーブス)が出店。「W」はテラスでスタンディングスペースを設け、外国人向けに“和酒スタイル”をプレゼンする。

2階にはミッドタウン以来の東京出店となるゼットンのダイニング・バール「食堂BAR カスミガセキ」。稲本健一社長が「ウチは表に面した角にしか出店しない」と言うように、2階ながら路面のイメージをもつテラスを確保した。内装も尖らず寸止め。エリアに合わせて力を抜いた。ジェイプロジェクトは既存店「ほっこり」シリーズ「鮮魚 銀シャリ ほっこり」を出店。新顔では新宿3丁目で東京初進出を果たした“純系名古屋コーチン”の串打ちと手羽先唐揚げを売りにする「鳥開」が「鳥開総本家」(プレグロ)。いづれもなぜか名古屋出身だが、「ほっこり」と「鳥開」は新橋に流れていた霞が関の“溝鼠族(お役人)”が通うほど良いベタさを残している。意外と「ほっこり」あたりに男性客や一般OLが溜まるかもしれない。

3階は札幌から東京初出店を果たしたイタリアンカジュアルダイニング「RISTORANTE di HOKKAIDO Mia Angela」とすぐ近くで繁盛店をつくってきた「頤和園(いわえん)」が派手な内装で姉妹店を出店。「Mia Angela」のベージュ東京のような空間、「頤和園」の金ピカの円卓個室には驚かされたが、デザイナーズ・レストランでの食事体験がない“溝鼠族”には逆にウケるのかもしれない。それは「W」や「RUBY CAFE」にも共通するが、高感度顧客、とくに女性からは敬遠される恐れがある。いずれにしても、三井が威信にかけて開発した「霞ダイニング」は、蓋を開けてみれば“日本の官僚の意識革命、ファッション革命”のミッションを背負っているのかもしれない。いや、様々なスキャンダルで揺れる官僚たちのリフレッシュの場となって欲しいものだ。でも、飲食費は自腹で!

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【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。
日本で初めて「レストランビジネス・ジャーナリズム」分野の開拓を目指す傍ら、レストランビジネス・プロデューサーとして「レストラントレンド」をテーマに講演・執筆を重ねている。日本ショッピングセンター協会発行の『SC JAPAN TODAY』4月号より「食のマーケット&トレンド」を連載開始。
2007年5月、有限会社カシェットから「フードスタジアム」を分社独立、渋谷区代々木にフードスタジアム株式会社を設立。業界トップのWEBニュースとして、現在月間PV600,000を超える東京レレストラン&グルメニュース「フードスタジアム」の拡大、全国展開に乗り出す。『ARIgATT』の復刊も模索中。

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