編集長のつぶやき

【VOICE FROM EDITOR】2007-05-10

“次世代デザイナー”はどこにいる?

“次世代デザイナー”はどこにいる?

先週のつぶやきで“飲食第3世代”について触れたが、経営者たちが世代交代すると同時に、店舗デザイナーの世界も“新世代”が台頭し始めている。

昨日、連休明けの銀座「ベルビア館」(三井不動産)と「新丸ビル」(三菱地所)の様子を見てきた。「ベルビア館」が苦戦しているのに対し、「新丸ビル」はビジネスマンやカップルで賑わっていた。「ベルビア館」はフロアコンセプト、MDの点で私は高評価したのだが、三井不動産側のPR不足なのか、新丸ビルオープンと重なった間の悪さなのか、水曜日とはいえ21時前後で約3〜4割の集客というのはあまりに厳しすぎる。リーシングサイドの思い込みが強すぎたのだろうか、コンセプト重視のあまり、ブランドと商品の“いいとこ取り”になってしまった感がある。集客しだいでフロアに活気は演出できるが、オープンしたばかりというのに、オーナーが店に立っていない。わずか「アヒル」「喜よし」が気を吐いていたぐらいか。

その点、新丸ビルはアナーキーだが、飲食店本来の個店の空気感をそのまま持ち込み、結果として“活きた街”を再現することができた。とくに5階は何度行っても独特の匂いを放つ。立ち飲み「再生酒場」の先にクールな「AWキッチン」があったりする。5階はなんと店舗日商平均70万円という。“地所の夜の社員食堂”と揶揄され賛否両論の7階「丸の内ハウス」は55万円。ただ「ソバキチ」は20坪で100万円、新川さんの「リゴレット」は150万円売る日もあるという。ちょっとした“シンマルバブル”だが、やはり飲食店は個性、アイデンティティ、その店のもつ独自の空気感が集客のポイントになるということか。

その空気感を醸し出すのはオーナーの個性、シェフの想い、スタッフのホスピタリティなどのソフト力とデザイナーのハード力とのミックス。新丸ビルでは「AWキッチン」がスワンズアイディー・小山トシオ氏、「リゴレット」がグローバルダイニング出身のスイート・佐野岳士氏 共に突き抜けたいい仕事をしている。「酢重ダイニング」はミュープランニングだが、数年前のダイニングスタイルの成功体験から抜け出ておらず、せっかくのオーナーのコンテンツを引き出せていない。そういえば、いまや“死語”に近くなった「デザイナーズ・レストラン」。大きなトレンドだっただけに、その頂点で仕事をした大御所たちは東京レストランシーンの先導役となったが、半面彼らに仕事が集中した結果、“デザイナーズバブル”の崩壊も早かった。

そして、いま新しいセンスと才能をもった“新世代デザイナー”たちが台頭し始めた。それは経営者、シェフの世代交代と軌を一にしている。ダイヤモンドダイニングの成長と共に活躍場を増やしているカームデザイン・金澤拓也氏、佐野氏と同様グローバル出身のアッタ・戸井田晃英氏、立ち飲みブームを仕掛けたガタイパーソナルスペースデザイン・萩本雅泰氏、味噌汁バーをブレイクさせ新宿に独立開業者向け図書館を運営する鬼才、スタジオナガレ・横井貴広氏など、次々に新鋭が登場してきた。彼らがこれからのレストランシーンをどう変えていくのか楽しみだ。

【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』編集者を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より「週刊フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。
日本で初めて「レストランビジネス・ジャーナリズム」分野の開拓を目指す傍ら、飲食店プロデューサーとして「レストラントレンド」をテーマに講演・執筆を重ねている。日本ショッピングセンター協会発行の『SC JAPAN TODAY』4月号より「食のマーケット&トレンド」を連載開始。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://www.food-stadium.com/blog/120/trackback.html

コメント

■コメントを書く

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

編集長のつぶやき一覧

編集・ライター急募!

フードスタジアムの編集・
取材ライター業務です。

http://www.food-stadium.com

出店・業態開発の相談は

物件探しのお手伝いから
開業、販促プロデュースまで

www.cachette.co.jp