編集長のつぶやき

【VOICE FROM EDITOR】2006-01-04

「アランデュカス」をビジネスする人々

「アランデュカス」をビジネスする人々

4月26日に行なわれたアラン・デュカスの記者会見に顔を出した。場所はラ・ポルト青山9階ホール。

記者会見の内容は「UP FRONT」に紹介した通りだが、デュカスの新しい店「ブノワ」のオープンは9月1日。記者たちの関心は“客単価”に集まっていたようだが、たしかに銀座「ベージュ東京」の値段だと青山では通用しない。「ランチは4,000円、ディナーは12,000〜15,000円。一皿だけでもいいし、バーもある気軽に利用していただける店」(デュカス氏)になる。3階の「カシータ」をかなり意識したのではないだろうか。それはともかく、私が面白いと思ったのは、今回のアラン・デュカス青山出店の仕掛人たちの顔ぶれである。

ラ・ポルト青山のディベロッパーは、広島に本社をもつアーバン・コーポレイション。不動産の証券化で伸びてきた会社だ。開発した不動産にいかに付加価値をつけ、運用利回りを上げるか、それが彼らの商売の決め手だ。テナントはそのための運用商品である。アーバンがラ・ポルト青山の運営を任せた先がラ・プラース。社長の岩坪敏和氏は、ホテルニューオータニの「トゥールダルジャン」や長崎ハウステンボスのホテル群、横浜ランドマークタワーのロイヤルパークホテルのVIプロデュース、浅草の浅草寺(せんそうじ)の大開帳のポスター制作や和菓子「舟和」のパッケージデザインなどを手がけてきたユニークな空間プロデューサーだ。岩坪氏のミッションは、テナントのパフォーマンスを極大化すること。

そして、アラン・デュカス記者会見で司会をつとめたのが、ファッションデザイナーの山本耀司氏も関わっている雑誌「サードエイジスタイル」を発行する出版社である。社長の久留一郎氏はヤマト運輸のタタキ上げセールスドライバーから起業したベンチャー経営者。アラン・デュカスのホテルビジネスの核である「シャトー&ホテル・ド・フランス」の日本総代理店も運営。同社はサードエイジ(40〜65歳)に向けてのライフスタイル提案事業として、出版やイベントをメインとしているが、ホテルやレストランビジネスもその一環なのだろう。いずれにしろ、今回のアラン・デュカスプロジェクトの仕掛人たちの顔ぶれは、まさに時代を象徴していると言えまいか。

そういえば、かつて「大人の青山」をつくってきた岡田大弐氏、ミュープランニングの吉本隆彦氏らは鳴りをひそめている。新しい主役に躍り出てきたのが、不動産ファンドやIT成功者、スポーツ界出身者などの“平成成金”たち。岡田氏や吉本氏が築いてきた「飲食店を発信源としたファッションとしての食文化」を彼らはどう引き継ぐのか。「食は集客の手段、食はビジネスのパフォーマンスの場」では長続きしないし、むしろ青山を愛する人々の反発を買うに違いない。森ビルの「表参道ヒルズ」には、サルヴァトーレ、暗闇坂宮下、渡邉明氏プロデュースの店、カリスマラーメンショップなどのテナント候補が挙がっている。地下鉄の表参道駅構内も来年3月に東京メトロ初の地下ショップ街が誕生し、大きく変わる。いったい青山はどんな街に変貌していくのだろうか。

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