編集長のつぶやき

【VOICE FROM EDITOR】2006-11-02

“飲食支援事業”と“FCビジネス”の行方

“飲食支援事業”と“FCビジネス”の行方

FCマーケットの成熟とともに“ベンチャーリンク神話”が崩壊し、新たに「ライセンス販売ビジネス」や「外食支援プラットフォーム」「WEBマッチングビジネス」など、様々なビジネスモデルが登場してきたが、どこが勝ち残っていくのだろうか。

30兆円あった外食産業の市場が24兆円まで減少し、その危機感を煽る人たちが増えているが、日本におけるオフィシャルな外食マーケットの市場規模は、あくまで「日本フードサービス協会」加盟のいわゆるチェーン店ビジネスの数字が表に出るだけで、それがレストランビジネスの実態を映しているとは思わない。協会加盟のファミリーレストランやファーストフードがコンビニや中食マーケットに市場を侵食されているのは時代の流れであり、協会がいまだに「パブレストラン/居酒屋」「ディナーレストラン」(古い言葉だ!)と括る部分も、旧来型のチェーンスタイルが廃れ、半面トレンドを捉えた新業態が成長しているなど、市場の底流で起きている本質的な構造変化は統計数字に表われてこない。協会に加盟していない新興チェーン勢力や3〜10店舗ぐらいの成長企業、あるいは魅力的な個店はこの4〜5年で確実に増えており、なにも悲観するにあたらないと、筆者は考えている。

フードスタジアムはそうした「外食産業」の隙間で伸びている飲食店・レストランにスポットライトを当てることをコンセプトにしている。毎日、街をリサーチし、ヘッドラインの編集をしていると、「外食不況」の感覚はまったくない。それはともかく、新たなチェーン店成長ビジネスモデルが“ベンチャーリンク神話”崩壊以来、描かれてこなかったことも事実だ。しかし、ここにきて様々な外食支援ビジネスが登場し、中には“大化け”し始めた企業も出てきた。ビジネスモデルは“弁証法”によって進化することで成長するという。Aというモデルが成長しピークアウトすると、それをアンチテーゼとしたBというモデルが登場する。しかしそれもほどなく成熟し、今度は新たにAとBの失敗を教訓にCという成長モデルが誕生するというわけだ。

筆者がいま注目している“Cタイプ”モデルはいくつかある。資本力を背景に確実に支援事業を伸ばしている「テレウェイヴリンクス」、中小酒卸店が集まった「日本ジェノスグループ」がつくった「AQSHNET」、独立開業支援のための「コマーシャルラボ」展開を始めた新感覚派デザインチーム「スタジオナガレ」、新たに投資活動を活発化する一方で「テンポス情報館」という飲食支援ポータルサイトの構築を目指す「テンポスバスターズ」、求人情報誌「グルメキャリー」が始めたライセンス販売事業の「ネオサーポート」などだ。これらはビジネスモデルのためのモデルに終わらず、NPO法人のような偽善的ボランティア要素もいまのところ感じられない。今後、どう育っていくのか楽しみである。それから、新興企業で注目したいのは株式会社フーディーズである。同社の久保田恭章社長は、創業から株式上場まで店舗流通ネット(現TRNコーポレーション)の幹部だったが、2年半前にフーディーズを設立、時の居酒屋「刻」のチェーン展開を始めた。

「刻」の特長は居抜き物件を再生していく久保田社長曰く「リノベーション・コンサルティング(RC)」スタイル。「従来のFCビジネスの短所であった高い加盟金、長い物件待ちを解消しました」と言うように、彼が考えたのはまず50万円で出店コンサルティング契約し、契約をもって“出店順位”を保証し、物件契約後300万円のライセンス料を取る。さらに居抜き物件を低コストでリメイクすることによって初期投資を坪40〜50万円に抑える。ベンチャーリンク系FCの場合、加盟金を払って契約してもエリア内に物件が出ないと出店できず、投資も50坪で6,000〜7,000万円ほどかかっていたが、RCシステムを使うと出店スピードが早く投資も3,000万円以下に抑えられるというわけだ。しかも、店舗流通ネット時代に物件開発担当だった彼のもとには、最新の物件情報が必ず入る。その結果、わずか2年半で「刻」は25店舗にまで急成長した。業界で話題に上る物件には必ず絡んでくる勢いである。近くオープンする新宿3丁目店は1〜2階で80坪、160席の大型店となる。FCビジネスの次は「店舗流通ネットを超えるビジネスモデルをつくる」と久保田氏。「RCを私は“外食成功支援事業”と呼んでいます。24兆円の下げ止まりを成し遂げ、社会に貢献したい」と締めくくった。

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【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』編集者を経て独立。数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より「週刊フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として取り上げられる。


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