編集長のつぶやき

【VOICE FROM EDITOR】2006-09-14

どんな目線で店をつくるか?

どんな目線で店をつくるか?

個性ある店には必ず必ずオーナーの店作りに対する強いイメージやポリシーがある。それが強すぎたり、客の方を向いていないと「居心地の悪い店」になってしまうが、その“目線”が徹底して顧客志向だと、とても「いい店」になる。

先日、ダイヤモンドダイニングの松村厚久社長とエイチ・ワイ・ジャパンの安田久社長の“師弟コンビ”と食事したとき、松村さんがポロリと言った。“朝礼伝道師”として今や業界の寵児に登りつめた「てっぺん」の大嶋啓介社長について議論していた折である。「僕は“女性目線”で店をつくっていますが、大嶋さんは“男性目線”でつくられているんじゃないですか」。なるほど、個性ある店をつくるオーナーたちは、明確な“目線”を持っている。その目線の先には客が楽しみ、喜ぶ姿が映し出されているに違いない。

松村さんや「芋蔵」のジェイプロジェクトの新田治郎社長など、ディスコ経営から成り上がったオーナーたちは「いかに女性客に喜んでもらえるか」といった“女性目線”で店をつくっている。ホールスタッフが客から呼ばれたときは、床に膝をついて客より下の目線で話す。優越感を感じた客は気持ちよく食事する。カップルや合コンの場合は、女性客が喜べば、連れてきた男性客も満足する。一方、“男目線”の店はあくまでベタな空気づくりにこだわる。「男は黙って…」(古過ぎ!)じゃないが、俯き加減でグラスを傾ける客には「お疲れさまっ」とボソッと声をかける。男はそれでホッとする。自分の場所がここにある、とばかり男たちはその店に通う。

今週は、フードスタジアム【INTERVIEW】の仕込みで、オザミワールドの丸山宏人社長、ケーズカラナリープランニングの越野健太郎社長にお会いした。「オザミデヴァン」の丸山さんは銀座7丁目のコリドー街近くに初の和食店「銀座大野」を開店したばかり、「匠Dining」ブランドで個性的な店を作ってきた越野さんは、赤坂に初の“個人投資家ファンド”による「MADOy」を開けたばかりである。丸山さんの店作りの要諦は「自分が行きたい店をイメージし、時間をかけて具現化していく」ことだ。スペインバルが流行るずっと前から構想していた「バニュルス」(銀座2丁目)も、5年前からやりたいと思っていたものの、イメージ通りの物件が見つからず開店までには時間がかかった。ようやくオープンに漕ぎ着けたら、たまたまスペインバルブームが…。大ヒットとなった。和食も4年前から構想を立て、イメージを固めてきてやっと実現。飲食店に対するそのこだわりの強さ、お客目線があるからこそ、これまでの店はすべて成功したのだろう。

ITベンチャー、ネット証券会社を渡り歩いてきた越野さんが飲食ビジネスに入ったのは、客として外食を重ねた結果である。「仕事が終わって夜中に食事するとき、六本木あたりのバーに行くしかなかったのですが、どんなバーに行っても食事がイマイチだった。雰囲気はいいし、酒は旨いけど、しっかりと食事できるバーがあってもいいんじゃないか」。その疑問がこの世界のへの扉を開いた。「僕は徹底して“客目線”で店をつくります。それが原点です」と言う。その彼が今度は個人投資家の出資を集めて飲食店をつくる「東京レストランファンド」を設立、その投資案件第1号が赤坂「MADOy」である。今度は“投資家目線”“オーナー目線”である。「自分がオーナーなら」といった目線で店をつくる。まったく新しい発想である。

「いい店」の基準は使う客それぞれによって違うことは言うまでもない。しかし、大事なのは「客観的」であるということだろう。客観的=客“看”的。お客さんを“看る”視線とポリシーが問われている。

【ご案内】
・9月21日(木)にフードスタジアム主催の「第1回レストラントレンド・セミナー」を行います。好評につき、参加定員を増やしました。まだ席に余裕がありますので、興味ある方はお申し込みください。詳細は以下のURLをご参照ください。
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・9月22日(金)に起業家養成スクール「ドリームゲート」の「ビジネストレンドセミナー」講師を私がつとめます。テーマは「レストラントレンドの先読み術」です。こちらもまだお席があるようですので、ぜひご参加ください。詳細は以下のURLをご覧下さい。
http://www.dreamgate.gr.jp/college/trend/index.html

【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』編集者を経て独立。数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より「週刊フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として取り上げられる。



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