編集長のつぶやき
ニューチェーン“大M&A時代”の読み方

このところ、新興外食企業の間で、M&Aの動きが活発になってきた。店舗物件が逼迫し、人材確保も困難な時代。それは、ニューリーダーの覇権を争う熾烈な競争の始まりでもある。
外食企業をめぐる“M&A”の動きが活発になったのは2005年。名古屋のベンチャー、ジー・コミュニケーションが突如、いろんな企業を傘下に収めた。それまでは、コロワイドやゼンショーといった企業が主役だった。これらの動きはどちらかといえば、企業そのものの拡大、再構築が目的だったといえる。それに比べ、今回の新興外食企業(私は“ニューチェーン”と呼んでいる)によるM&Aの動きは、目的が明確。ゼロから新規出店するリスクを取るよりも、立地・物件(とくに東京23区内)、業態、人材などをスピーディーに手に入れることができるからだ。
今年に入ってからその動きが急に活発化。一六堂が池袋(8店舗)を中心に居酒屋を17店舗展開しているデイ・マックスを買収(3月6日発表)、6月6日にはダイヤモンドダイニングが西新宿に7店舗ドミナント展開しているサンプール買収を発表した。また、6月17日、三光マーケティングフーズが「周之家」(都内6店舗)を展開しているアジアンエイト買収を発表した。「周之家」については、先行して一部のサブリース業者が個別物件のリーシング交渉を始めていただけに、「土壇場のドンデン返し」(関係筋)の動きに業界が騒然としている。
このほか、やはり17日、関門海が小田原を本拠とする回転寿司チェーン、だいもん買収を発表した。こちらは、物件、人材というよりも、「食材調達力・技術開発力の向上」を目的としている。さらに、最新の『会社四季報』によると、アスラポートダイニングが40店舗展開する外食企業を買収するという動きもある。いずれにしても、このように、最近のM&Aの主役に躍り出てきたのが、数年前まで外食を引っ張ってきたワタミや大庄ではなく、ニューチェーンであることに注目すべきだ。ニューチェーンの間で、ワタミ、大庄の次の時代のリーディングカンパニーを争う戦いが始まっているという見方もできよう。
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【筆者プロフィール】
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。





