編集長のつぶやき

【VOICE FROM EDITOR】2008-05-01

「ペルソナ」の時代が来た!

「ペルソナ」の時代が来た!

最近、よく聞く「ペルソナ」「ペルソナデザイン」。アメリカで流行っているマーケティング手法で、日本の企業でも導入が始まった新しい顧客把握、顧客開拓の方法である。

先日、ある30代の居酒屋経営者と話していたら、「ウチの店のコンセプトは、“ペルソナ”に基づいて作ったんですよ。ニューヨークの30代のビジネスマンを想定し、彼が普段使いできる和食店とはどんなものか、メニューはどう構成すればいいか、それを追究していったのが“新日本和食”という業態、メニューにはドライアイスを駆使してサプライズを演出したんです」と。若いスタッフから提案があり、コンセプトづくりに導入したという。それによって大きなヒットを生んだわけではないが、居酒屋がひしめくマーケットの中で、ある種の差別化をすることはできたのではないか。

飲食店はオーバーストア、大競争の時代に入ったが、数々の原材料値上げや“官製不況”の深刻化で外食動機はますます減ってくる。一方、マーケットは多様化、顧客の顔が見えないどころか、一人の客が多様なニーズを要求するわがままな“モンスターマーケット”の時代に入った。これはインターネットの浸透よって、PCさえあれば瞬時にいろんな商品やサービスを選べるようになったことが背景にあるようだ。飲食店選びにおいても、グルメ検索サイトから口コミブログ、ホームページなどから選び放題である。予約を入れてきたからといって、ただちにその顧客が店のターゲット客かどうか把握できない。

「ペルソナ」は店側が最初から“最も重要で象徴的な顧客モデル”を想定する手法だ。これから店をつくる場合だけでなく、現在の顧客データベース、たとえば顧客属性、利用動機、注文実績などから、顧客層をセグメント化し、さらにいくつかの層から代表的なユーザー(ペルソナ)を描き上げる。たとえば「青山の外資系広告代理店に勤める34歳のOLのAさん。大きなゴールは40までに結婚だが、当面はダイエットとグルメブログ更新に生き甲斐を感じている。外食回数は週二回、選ぶ店の基準は健康志向のコンセプトの店のみ。最近は薬膳料理にハマッている」といった具合。店側は、その「ペルソナ」の潜在的なニーズや深層心理を考えたメニュー提案、サービスを心がける、というわけである。

これまでは、コンセプトやターゲットを考える場合、ざっくりと「30代のOL」という括りだったが、これからは「どんな30代OLなのか」を明確に、そして詳細に把握しなければいけない。飲食店も「ペルソナ」マーケティングの時代に入ったと言えるかもしれない。

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【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件(元社員の手記)」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。
日本で初めて「レストランビジネス・ジャーナリズム」分野の開拓を目指す傍ら、レストランビジネス・プロデューサーとして「レストラントレンド」をテーマに講演・執筆を重ねている。日本ショッピングセンター協会発行の『SC JAPAN TODAY』4月号より「食のマーケット&トレンド」を連載開始。
2007年5月、有限会社カシェットから「フードスタジアム」を分社独立、渋谷区代々木にフードスタジアム株式会社を設立。業界トップのWEBニュースとして、現在月間PV600,000を超える東京レレストラン&グルメニュース「フードスタジアム」の拡大、全国展開に乗り出す。『ARIgATT』の復刊も模索中。
佐藤こうぞうブログ「つぶやき編集長の『毒にも薬にも…』」も開始。“裏つぶやき”として話題に。

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