編集長のつぶやき
飲食業界の“松坂探し”が始まった…

アクシュ・ネットが立ち上げた“飲食店開業チャレンジャー発掘企画”「伝説への扉」プロジェクト発表の記者会見を覗いてきた。
「その企画に投資します!」という“マネーの虎”的なプロジェクトだが、投資額が「1億円」とあって、センセーショナルな旗揚げではあった。審査委員は3人。その一人の際コーポレーション社長・中島武氏は「飲食業界に“食のプロ”が少なくなった。サービスやホスピタリティばっかり唱えて“喜ばせ方”を競うヤカラが増えて、食の本質を忘れている。ホストクラブじゃあるまいし…」と最近の風潮に釘を刺し、「オーナーのインテリジェンスに期待したいですね。次のスタンダードになるような、それでいて個性的な店を作れる人を応援したい」と語っていた。
このプロジェクトを主催するアクシュ・ネットは業務用酒類卸業者5社が出資した飲食店支援企業。審査員たちの“辛口”が飛び交う記者会見も面白かったが、「永らく飲食業者を間近でみつめ、パートナーとしてがっぷり四つに組んできた業務用酒類のプロ達が中心になってこのプロジェクト事務局を運営します。…業務用酒類卸業者は、通常、飲食店にとっては最大の取引先であり、したがって大きな債権者でもあります…。飲食業界最大のエンジェルであり、飲食業の成功と失敗のデータベースであります」と、発表資料の中で“吐露”した事務局の真情にも驚いた。
確かに酒類卸業者は日々の努力の割りに報われない。飲食店の開業、廃業を毎日にように眺め、激しいマーケットトレンドの変化に振り回される。そうした活動の中で「成功する店と失敗する店」「成功する要素を持った経営者と失敗する可能性の高い経営者」を見分ける眼力を身に着けてきた。それを活かし、才能と情熱を兼ね備えた次代の経営者を“青田買い”し、実際に1億円のファンドを組んで投資し育てようというわけだ。単なるイベントではなく、文字通りエンジェルとして、プレーヤー発掘・育成に乗り出したのである。いわば飲食業界の“松坂大輔探し”である。さて、松坂級のプレーヤーが出てくるかどうか。発表は9月3日である。
【筆者プロフィール】
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』編集者を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より「週刊フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。






