編集長のつぶやき

【VOICE FROM EDITOR】2007-03-15

「居酒屋甲子園」私論

「居酒屋甲子園」私論

3月13日、横浜パシフィコで第2回の「居酒屋甲子園」決勝大会が開催され、5,000人の参加者を集めて盛況だったという。

その煽りなのだろうか、筆者は当日、東京ビッグサイトのフード・ケータリングショーとホテル・レストランショーにいたが、初日にもかかわらず人の入りが少なかった印象である。あちこちのブースで「今年は少ないねぇ」とこぼす声が聞こえたぐらいだから、“居酒屋甲子園効果”が少なからず影を落としたに違いない。14日の「朝日新聞」の「ひと」欄には主催者の大嶋啓介氏が取り上げられ、まさに“飲食業界のカーネギー”扱いである。

いま大嶋氏や居酒屋甲子園のあり方に対する批評をするものなら、業界から袋叩きに遭いかねない。それを覚悟で、敢えて書く。サイレントマジョリティとは言わないが、あくまで“私論”として読んでほしい(もともと、この欄は筆者のつぶやきにすぎない)。たしかに、居酒屋甲子園の“観客動員力”は凄い。それは大嶋氏のカリスマ性とリーダーシップ力に拠るところが大きいだろう。しかし、その仕掛けのカラクリはMLMビジネスの表彰式で使われるマインド・コントロールの手法となんら変わるところがないのではないか。「自己愛」「家族愛」を掻き立て、“泣かせの演出”をする。観客はショーのクライマックスで一種の宗教的トランス状態になる。

それを祭りと割り切れば罪はないが、こうした宗教的熱狂に大手企業、上場企業がこぞってコミットするのはいかがなものか。宗教的なる価値をスタンダードにしてよいのか。参加した弊社の新人スタッフの感想と意見。「ボスは来てないからわからないかも知れないけど、勉強になりました。居酒屋のレベルアップ、モチベーションアップにはめちゃめちゃ貢献してます。しかし、真の居酒屋日本一を決める場ではありませんね。自己顕示欲、自己満足の世界でがっかりした部分もありました」。優勝の決め手になった台詞は今年も「生んでくれてありがとう」だった。武田信玄のように、子供は親を憎み、超えていく生き方もある。「お客さんありがとう」でいいではないか。

【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』編集者を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より「週刊フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。日本で初めて「レストランビジネス・ジャーナリズム」分野の開拓を目指す傍ら、飲食店プロデューサーとして「レストラントレンド」をテーマに講演・執筆を重ねている。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://www.food-stadium.com/blog/112/trackback.html

トラックバック一覧(1)

コメント

コメント一覧(3)

■コメントを書く

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

編集長のつぶやき一覧

編集・ライター急募!

フードスタジアムの編集・
取材ライター業務です。

http://www.food-stadium.com

出店・業態開発の相談は

物件探しのお手伝いから
開業、販促プロデュースまで

www.cachette.co.jp