編集長のつぶやき
「情報を制する者は…」

先日、電通が発表した「ネット広告費が急増し、雑誌広告費を抜いた」という調査結果が飲食業界でも話題を呼んでいる。「今年は“情報戦争”元年」とも…
電通によれば平成18年のネット広告費はラジオの2倍に達し、雑誌とほぼ並んだという。バナー広告から始まったネット広告は、検索キーワードやウェブサイトの内容に即した連動型広告が加わり急成長が続き、18年のネット広告費は前年比29・3%増の3630億円と躍進。今後はさらに、高速化が進む携帯電話が新広告媒体として立ち上がる可能性が濃厚で、3・5世代と呼ばれる高速携帯電話が普及する2〜3年後には、ネット広告の波はさらに大きくなると予想している。
この報道を読んで、さる大手飲食店サポート企業の幹部がこう言った。
「飲食店も我々サポーターも、これからは“いかに情報を制するか”がテーマになって来るでしょうね。その武器として、インターネットによる情報発信は欠かせないものになりますね」。フード・レストランビジネスにとって重要な経営資源は「人」「物(物件)」「カネ」の3点セットだが、今後は「情報」への取り組みが他企業、他店を差別化するための武器となると言うのだ。
ここ数年、サポーター企業が急増し、広告検索サイトやマッチングビジネスが急成長してきた。が、しかし、“サポーター間競争”が激化した挙句、肝心のプレーヤー(飲食店)たちの真のパートナーではなく、業者意識にとらわれて迷走しているとしか見えないのは筆者だけだろうか。オピニオンをリードすべき業界メディアでさえ、業者の代弁者に成り下がっていないだろうか。本来、プレーヤーとサポーターは対等であるべきだ。それが前提であってこそ、ビジネススタジアム(飲食マーケット)が活性化する。
その意味で、サポーターはいまこそ“情報”への取り組みを真剣に考えるときだ。いま、NHK大河ドラマ「風林火山」の山本勘助や、秀吉に仕えた黒田如水などの“軍師”“参謀”の役割が見直されているのも、時代の要請であろう。ただ、ネットで得られる情報を過信してはならない。情報洪水の時代だからこそ、「本筋のネタをどう掴み、それをどう活かすか」が問われている。その鍵を握るのはむしろ、“アナログ力”ではないだろうか。
【筆者プロフィール】
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』編集者を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より「週刊フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。日本で初めて「レストランビジネス・ジャーナリズム」分野の開拓を目指す傍ら、飲食店プロデューサーとして「レストラントレンド」をテーマに講演・執筆を重ねている。






