編集長のつぶやき

【VOICE FROM EDITOR】2007-02-01

松村厚久「渾身の作」に秘めた想い

松村厚久「渾身の作」に秘めた想い

フルスピードで出店のアクセルを踏み続けているダイヤモンドダイニングが“上野一の大箱”でまた勝負に出た。松村厚久社長、「渾身の作」である。

2月1日オープンの「しのばず屋別邸」は260坪、4店舗4業態、総席数441という超大箱である。江戸時代は“黒門町”と呼ばれ、浅草の旦那衆や芸姑が優雅な遊びを愉しんだ一郭。その華美を極めた風情を現代に再現しようという、ダイヤモンドダイニングらしいコンセプトだ。麦とろ・はしり割烹の「京個室 辻が花」、お茶屋BARの「逢瀬の刻」、炉端焼の「鬼吉」、そして同社初のビュッフェスタイル「大地の贈り物」の4業態。デザインはジェリーフィッシュ・貞廣一鑑氏の渋谷「おはし」を手掛けたベイリーフの前田太郎氏(MD出身)である。

1月30日に開催されたレセプションにはプレス、同社関係者、松村社長と交友のある業界人など300人を超える招待客が集まった。入り口に立つ松村さんは、いつもと表情が違う。一人ひとりに、この「渾身の作」を一所懸命に説く姿があった。今回はOLやサラリーマン対象というより、「浅草や上野界隈の老舗関係者や食通の方々にもぜひ足を運んでいただきたい」(松村さん)という想いが強いのだ。同じビルには「今半」「梅の花」などがある。それらと戦えるかどうか、高い客層の取り込みという狙いもあるようだ。

かつて、このコラムで「二人の上場予備軍」という原稿を書いた。ダイヤモンドダイニングが池袋にやはり4業態500席という大箱を出店したときだ。同じビルに先に出店していた名古屋出身の「ジェイプロジェクト」の新田治郎社長と松村さんは同世代、共にディスコ出身でよく似たコースを辿っていた。「株式上場」という目標も一緒だった。その新田さんは昨年12月にマザーズ上場を果たし、松村さんはまたしても先を越されてしまった。最新、松村さんは「上場の話題」については黙して語らない。株価で二人が競う日も近いのだろうか。

※この原稿を公表直後、株式会社ダイヤモンドダイニング・公式ホームページ上で、「大証ヘラクレス上場への承認が得られた」と発表がありました。


【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』編集者を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より「週刊フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。日本で初めて「レストランビジネス・ジャーナリズム」分野の開拓を目指す傍ら、飲食店プロデューサーとして「レストラントレンド」をテーマに講演・執筆を重ねている。

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