編集長のつぶやき

【VOICE FROM EDITOR】2006-12-14

「赤坂」が“アデージョ(艶女)の街”へ変貌?

「赤坂」が“アデージョ(艶女)の街”へ変貌?

東京ミッドタウン(2007年3月開業)や旧TBS会館跡地再開発ビル(地上39階、2008年1月開業予定)の話題で盛り上がる赤坂エリアだが、いま“旧田町通り”が密かに変貌を遂げつつある。

赤坂といえば、銀座、新宿に並ぶ“夜の街(歓楽街)”という印象が強いうえ、連想するのは“ヤクザ”“フィリピンパブ”“韓国街”というダークサイドイメージ。しかし、急激な変貌を遂げつつあることに、最近気づかされた。赤坂の街は3つの商店街通りで構成されている。赤坂見附駅から近い順に、旧田町通り、みすじ通り、そしてTBSに最も近い一ツ木通りである。そのなかで、旧田町通りが「エスプラナード赤坂通り」と名称を変え、“大人の女性”をターゲットとした街づくりに向けて突き進んでいたのだ。

エスプラナードは“貴族の散歩道・高貴な避暑地の遊歩道”という意味とか。数年前から電線地中化やゴミ廃止運動を進め、今は確かに石畳のクリーンな通りに変わっている。風俗店は消え、おしゃれなレストランやカフェ、書店、ブティックなどが増えている。個性的な飲食店も増え、最近も博多中州から鶏料理の「ぢどり屋」やベジダイニングの「やさいや」、ステーキレストラン「パトラシーザー」などの新店が続々とオープンしている。チェーン店が出店に二の足を踏む間に、こうした“恵比寿型”の飲食店が密かにデビューを果たしているのである。赤坂周辺のオフィスに勤めるアンテナの高いOLたちがターゲットであることは言うまでもない。

そんな変化を遂げつつあるエスプラナード赤坂通りのど真ん中に12月14日、「赤坂グランベルホテル」がオープンする。一ツ木通りにも「APAホテル」(1階はイタリアンバール)があるが、グランベルホテルは目黒「ホテルクラスカ」を手掛けた都市デザインシステムが設計した“デザインホテル”である。今年7月、渋谷・桜丘に「渋谷グランベルホテル」(1階はスペインバル「P」)を開業し、桜丘エリアを“大人の渋谷”に変える起点となった(奥には中目黒の隠れ家「元旦」姉妹店「SSO」が出現し、いまや桜丘は“芸能人のお忍び通り”と言われ始めた)。赤坂グランベルホテルも渋谷を超える気合いの入れようで、地下には173席の「レッドシアター」(小劇場&貸しホール)も開業。1階にはヨーロピアン・ビアパブの「The Mermaid」、2階には寿司和食の「金乃助」(ヤマト水産)がオープン。まさに通りのコンセプトにジャストマッチングの“アデージョ(艶女)”狙いのホテル、レストランであり、ランドマークである。

エスプラナード赤坂通りの沿革を調べてみたら面白いことが判明した。実は、この通りを変えてきたリーダーは城所ひとみさんという地元商店街振興会の女性理事長。地元の赤坂クインビル副社長としてビル経営に従事。1988に「赤坂田町通り会」役員となり、1990に同会長に就任。同時期に地元のオフィスワーカーなどを巻き込んだ街づくり組織「トーク赤坂21」の代表発起人になる。2004年3月、理事長として「商店街振興組合エスプラナードアカサカ」を率いてきた。女性理事長の目線で、旧田町通りを“男の街”から“大人の女の街”に変えてきたのだ。彼女の著書『赤坂はこんなにおしゃれになった』の宣伝コピーにはこうある。「さびれてゆく街をどう再生するか。ゴミ、電柱、駐輪、駐車場──。ヤクザの親分さんに筋を通し、韓国街のボスの胸にとび込み──、そうしてアカサカはガラリと街の様相を変えました」。赤坂もこれから侮れない…。

【筆者プロフィール】

(佐藤  こうぞう)
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』編集者を経て独立。1997年の金融不祥事発覚の突破口となった「野村證券総会屋利益供与事件」をスクープした『月刊BOSS』(編集長代理)など、数々の雑誌創刊に関わった後、2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長をつとめる。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2002年10月、フジTVと提携し『MENUマガジン』を創刊、vol.3までエディトラルアドバイザー。2004年1月より「週刊フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、レストラン・フードビジネス専門のプロデュース&プロモーション会社の有限会社カシェットを運営。2004年 10月から日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」日曜版で「行列 のできる店 仕掛人」シリーズ連載執筆。その他、日本ショッピングセンター協会、東京商工会議所渋谷支部で「商業施設における魅力ある飲食テナント誘致」等のテーマで講演。『月刊店舗』2005年8月号から06年1月号まで「食トレンドの先読み術」連載。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で“隠れ家レストランの仕掛け人”として、プロデュースした神楽坂「art et vin HAP(アール・エ・ヴァン ハプ)」が取り上げられる。日本で初めて「レストランビジネス・ジャーナリズム」分野の開拓を目指す傍ら、飲食店プロデューサーとして「レストラントレンド」をテーマに講演・執筆を重ねている。

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